訪問看護師になるための具体的な方法と仕事内容と給料

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看護師の働く場所としてほとんどの方が思い浮かべるのは病院や診療所などではないでしょうか。しかし、最近は病院以外でも活躍する看護師が増えています。しかし、看護学生時代の実習や授業の中で訪問看護師について学ぶ時間は短いため、仕事内容などを詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。

訪問看護師の仕事内容やメリット、給料などを見ていきましょう。

【訪問看護師とは】

最近は医療を受ける場が、病院などの医療施設から在宅へとシフトしつつあります。そのため、訪問看護師という職業が大切になっています。訪問看護とは、「疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等が療養上の世話又は必要な診療の補助をいう」と定義されています。

出典:訪問看護について 4ページ目

そのため、訪問看護師とは、「居宅において継続して療養を受ける者に対し、療養上の世話又は必要な診療の補助を行う看護師」と言えるのではないでしょうか。

平成24年度に行われた調査によると、看護職員全体の約2%に当たる33,649名が訪問看護ステーションに勤務しているということが分かりました。

出典:看護職員の現状と推移 4ページ目

全国各地に多くの訪問看護ステーションがあるように思いますが、勤務している看護職員の数は非常に少ないですね。平成24年4月時点で、稼働している訪問看護ステーションの数は6,298か所となっています。

出典:平成24年4月現在訪問看護ステーション数(平成24年)調 1ページ目

訪問看護ステーションの規模や地域などにもよりますが、訪問看護ステーション1か所あたり約5.3人の看護師が在籍しているということになります。

【訪問看護師になる方法】

訪問看護師になるには、どのような条件が必要なのか紹介します。

①日本での看護師免許を取得していること

当然ですが、訪問看護師として勤務するためには日本での看護師の資格が必要となります。訪問看護師の募集要項を見てみると、「看護師資格を持っている方」としか記載のない場合が多いです。そのため、正看護師でも准看護師でも、資格を取得していれば訪問看護師として勤務することができるように思いますよね。

正看護師も准看護師も、できる仕事の内容は同じです。しかし、准看護師の場合、何か行動を起こす際には医師か正看護師の指示の下でなければなりません。訪問看護師は、ほとんどの場合一人で、療養生活をされている方の家に訪問することになります。そのため、准看護師一人で訪問することはできず、看護師と同行することになってしまうのです。

訪問看護ステーションの多くは、「正看護師」の資格を持っている方を採用しています。募集要項に「看護師資格を持っている方」としか記載のない場合、准看護師の資格を持っている方は准看護師でも応募できるか確認しておくようにしましょう。

②勤務経験があるほうがいい

新卒で訪問看護ステーションに勤務をする方はほとんどいません。訪問看護ステーションの応募条件に、「看護師経験3年以上ある方」など、勤務年数の指定がされていることが多いからです。

先ほども記載しましたが、訪問看護師は一人で患者さんの自宅へ訪問することとなります。その際に褥瘡の手当や点滴管理、血糖コントロールなど多くの医療行為を行うこととなりますし、異常の早期発見を行うことも大切です。その際、新人看護師が一人で訪問したとしても、患者さんへ十分な看護を提供することはできません。また、正常と異常の判断を行うことや、緊急時の判断を行うことも難しいです。そのため、病院などでの臨床経験が最低3年以上必要となっているところが多くなっています。

【訪問看護師の仕事内容】

病院以外の場で看護を提供する訪問看護師ですが、実際にどのような仕事を行うのか見ていきましょう。

訪問看護指示書に基づいて医療行為

私たち看護師は、医師からの指示がなければ医療行為を行うことはできませんよね。訪問看護師も一緒で、医師からの指示がなければ医療行為を行うことができません。病院や診療所で勤務している場合は、院内に医師が在籍しているので、いつでもすぐに指示をもらうことができます。しかし、訪問看護の場合、すぐそばに医師はいません。そのため、医師からの指示である「訪問看護指示書」をもとに医療行為を行うこととなります。

病院では、毎日のように点滴や膀胱留置カテーテルの交換、人工呼吸器の管理などを行いますが、訪問看護でも同じです。訪問看護指示書に記載されている指示の通りに、医療行為を行っていきます。

身の回りのケア

患者さんの自宅へ訪問して、医療行為だけを行えばいいわけではありません。病院で勤務している看護師と同様、患者さんの身の回りのケアも行う必要があります。おむつ交換や口腔ケア、清拭などの、医療行為以外のケアを行うことも大切です。

訪問看護師が看護を提供する場は、療養者の自宅ですので、使用できる環境や物品は病院とは大きく異なります。その限られた環境や物品を工夫しながら利用し、患者さんへ必要なケアを提供していく必要があるので、病院で勤務するよりも応用力が必要かもしれません。

③家族への支援

訪問看護を利用している方の中に独居の方もいますが、家族と生活をしている方も大勢います。訪問看護師や訪問介護士、ヘルパーなどの利用をしている方が多いです。しかし、24時間訪問看護などのサービスを受けることはできませんので、サービスを受けている時間以外は家族が看護や身の回りのケアを行う必要があります。

看護や身の回りのケアを家族の方が行う中で、疑問に感じることや不安に思うことが出てくることがありますが、このような疑問や不安の解消をできるようかかわることも大切です。家族の協力がなければ在宅での生活を継続していくことは困難ですので、家族の方へのアドバイスや指導を行うとともに、家族の方が休むことができるように支援を行うことも重要となります。

本人や家族への指導

病院に入院している患者さんの場合は、何か困ったことやおかしいと感じたことがあればすぐに看護師や医師を呼び、必要に応じた処置やケアを行うことができます。しかし、在宅で療養生活を行っている方の場合、何かあったときにすぐに看護師や医師を呼ぶことができないこともあります。

しかし、訪問看護を受けている方は全員が軽症な方ではなく、人工呼吸器を装着している方など重症な方もたくさんいます。人工呼吸器の場合、何か異常を感知すればアラームが鳴り、直ぐに看護師が駆け付け原因を解決することが可能です。しかし、在宅では常に看護師がいるわけではないため、アラームが鳴ったときの対処は家族の方が行わなければなりません。

また、吸引が必要な方や経管栄養を使用している方も大勢いますが、看護師がいない時間帯は家族の方が行う必要があります。

患者さんの状態に応じたケアや使用している器具や機械、必要としている処置などについて、家族の方が安心して実施できるように指導することが大切です。患者さんが入院している間に病棟の看護師が家族の方へ指導を行っていることがほとんどですが、在宅では病院と環境が大きく異なりますので、在宅ならではの方法やコツを提供する必要があります。

退院前カンファレンスの参加

病棟で勤務している方の多くは、患者さんの退院が決定した際に退院前カンファレンスを開催したことがあるのではないでしょうか。患者さんの退院後の生活や、退院後のサポートの方法について情報交換を行う場ですので、非常に大切ですよね。カンファレンスの際、病院関係者だけでなく、訪問看護師の参加もありませんでしたか?

その患者さんがどのような入院生活をすごし、退院後にどのようなサポートを必要としているのかなど、看護サマリーなどの書面だけではわかりませんよね。そのため、訪問看護師は退院前カンファレンスに参加し、その患者さんの情報を細部まで収集していく必要があるのです。

また、病棟で行っているケアや指導した内容なども、書面だけではわかりにくい場合があります。病棟の看護師から直接話を聞くことで、継続して同じような看護が提供できるのではないでしょうか。

【メリット】

訪問看護師として働く際、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

①残業がほとんどない

病院で勤務をしていると、毎日多くの業務を行う必要があるため、時間内に仕事を終えるのは非常に難しいですよね。2013年に行われた調査によると、看護師の9割は時間外労働を行っており、残業時間が「30分以上」は74.5%、「60分以上」43.2%、「120分以上」8.6%ということが分かりました。

出典:看護職員の労働実態調査「報告書」 37ページ目

皆さんも毎日残業を行っているのではないでしょうか。残業が続くと、ゆっくり休むこともできませんよね。

訪問看護師の場合、すべてのご家庭への訪問時間が決まっているため残業はほとんどありません。病棟のように緊急入院や予定外の処置などを行うことはほとんどないため、時間内に仕事を終えることができるのです。残業続きでしんどい思いをしている方や、仕事と家庭を両立したい方にはぴったりの職場ではないでしょうか。

②夜勤がない

病棟で働く場合、月に3~5回程度夜勤を行う必要があります。少ない看護師で多くの患者さんの対応を行わなければなりませんので、看護師一人に係る負担は大きくなりますよね。生活リズムも乱れますので、夜勤をつらく感じている方が多いのではないでしょうか。

訪問看護師の場合、基本的に夜勤はありません。魅力的に思いませんか?

【デメリット】

訪問看護師として働く場合、メリットだけでなくデメリットもありますので紹介します。

①自分一人で対応をしなければならない

病棟や病院で勤務をしている場合、自分一人で行うことが難しいと感じたケアを行うときや、疑問に思ったことがあっても、すぐにほかの看護師の協力や助言を得ることができます。しかし、訪問看護師は一人で在宅療養をしている患者さんの元に訪問するため、自分一人でケアを行い、疑問に思ったことも自分一人で解決しなければなりません。そのため、経験も知識も豊富でなければ、訪問看護師として仕事を行うことは難しいです。

②オンコール体制

先ほど、訪問看護師は夜勤を行う必要はないと書きましたが、訪問看護ステーションによっては「オンコール体制」をとっているところもあります。訪問看護師のオンコール体制は、訪問看護ステーションのPHSを自宅に持ち帰り、患者さんや家族の方から連絡があれば、自宅に向かうというシステムです。オンコール体制をとっている訪問看護ステーションの多くは、在籍している看護師が順番に対応するようになっています。電話がなければ特に何もする必要はありません。しかし、いつ電話がかかってくるかはわかりませんので、気が休まらないと感じる方も多いです。

2014年に行われた調査によると、オンコール体制を導入している施設での平均オンコール待機回数は9.4回、平均出勤回数は1.6回ということが分かりました。

出典:2014年 訪問看護実態調査 報告書 29ページ目 3-ページ目

待機回数は多いですが、出勤回数は少ないですね。しかし、いつ呼ばれるかはわからないため、ゆっくり過ごすことは難しいかもしれません。

③普通自動車免許が必要

訪問看護師は、患者さんの自宅へ向かわなければなりません。徒歩や自転車で行ける場所でばかりであればいいのですが、訪問看護ステーションから離れた場所に住んでいる方も大勢います。遠い距離を徒歩や自転車で移動すると非常に時間がかかり、次の患者さんのところへ訪問する時間がずれてしまいますよね。また、地域によってはバスや電車などの公共交通機関をうまくかつようできないところもあります。さまざまな場所に住んでいる患者さんの元へ行かなければなりませんので、訪問看護ステーションの普通自動車を利用することも多く、ほとんどの訪問看護ステーションに専用の自動車がおかれています。そのため、訪問看護ステーションの募集要項の中に「普通自動車免許(AT限定でも可)必要」となっているところが多くなっているのです。

自動車免許を持っていない方で訪問看護師を目指している方は、機会があれば免許を取得していたほうがいいかもしれません。あるいは、面接を受ける際に免許を持っていなくても大丈夫か、確認するようにしましょう。

【給料】

働く中で一番気になることと言えば、やっぱり給料ですよね。訪問看護師はどれくらいの給料を受け取ることができるのでしょうか。日本看護協会が平成23年にまとめた調査によると、年齢が31~32歳、非管理職、経験10年で設定した場合、月の基本給額の平均は病院勤務の場合244,042円、訪問看護ステーション勤務の場合234,048円となっています。また、年間給与支給総額は病院勤務の場合4,904,747円、訪問看護ステーション勤務の場合4,285,938円となっており、差は618,809円あるということが分かりました。

出典:訪問看護の伸び悩みに関するデータ 4ページ目

夜勤や残業が少ない分、給料が少なくなることは当然かもしれません。また、病院は福利厚生が充実しているところが多くありますが、訪問看護ステーションによっては経営状態が良くなく、福利厚生が充実していないところも多くあります。看護師として勤務する際に給料や待遇を重視する方は、訪問看護師として勤務することは難しいのではないでしょうか。

【まとめ】

訪問看護師としての仕事内容やメリット、給料などについて紹介しました。訪問看護師に興味のある方は、自分が募集条件にあてはまっているか、きちんと確認するようにしましょう。

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