専門看護師と認定看護師の違いと種類を詳しく解説

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看護師として勤務している方の中には、様々な資格を取得して勤務している方が大勢います。助産師や保健師の資格を持っている方は大勢いますが、最近は「専門看護師」と「認定看護師」の資格取得を目指している方が多いのではないでしょうか。

市民病院や大学病院などの大きな病院に勤務している方は、勤務している病院にこれらの資格を持っている看護師が在籍しているのではないでしょうか。しかし、専門看護師と認定看護師について知る機会は少ないですよね。

これらの資格の名称は似ていますが、資格の種類や取得方法、仕事内容などが異なります。どのような違いがあるのか、項目ごとに見ていきましょう。

役割・目的

専門看護師

専門看護師制度は、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門分野の知識・技術を深めた専門看護師を社会に送り出すことにより、保健医療福祉の発展に貢献し併せて看護学の向上をはかることを目的としており、専門看護師は、日本看護協会の専門看護師認定審査に合格し、ある特定の専門看護分野において卓越した看護実践能力を有することを認められたものをいいます。

専門看護師の役割は以下の通りです。

  1. 個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
  2. 看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
  3. 必要な看護ケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
  4. 個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る。(倫理調整)
  5. 看護者に対しケアを向上させるための教育的役割を果たす。(教育)
  6. 専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるために実践の場における研究活動を行う。(研究)

出典:日本看護協会 専門看護師(Certified Nurse Specialist)とは

認定看護師

認定看護師制度は、特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実戦のできる認定看護師を社会に送り出すことにより、看護現場における看護ケアの広がりと質の向上をはかることを目的としており、認定看護師とは、日本看護協会の認定看護師審査に合格し、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することが認められた者をいいます。

認定看護師の役割は下記の通りです。

  1. 個人、家族及び集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
  2. 看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
  3. 看護職に対しコンサルテーションを行う。(相談)

出典:日本看護協会 認定看護師(Certified Nurse)とは

種類

専門看護師と認定看護師には、それぞれ種類があります。どのような種類の分野があるのか紹介します。

専門看護師

2016年12月現在、特定されている分野は以下の13分野です。資格の保有者は全国に1,862名います。

がん看護 713名

がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOLの視点に立った水準の高い看護を提供する。

精神看護 265名

精神疾患患者に対して水準の高い看護を提供する。また、一般病院でも心のケアを行う「リエゾン精神看護」の役割を提供する。

地域看護 25名

産業保健、学校保健、保健行政、在宅ケアのいずれかの領域において水準の高い看護を提供し、地域の保健医療福祉の発展に貢献する。

老人看護 107名

高齢者が入院・入所・利用する施設において、認知症や嚥下障害などをはじめとする複雑な健康問題を持つ高齢者のQOLを向上させるために水準の高い看護を提供する。

小児看護 184名

子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する。

母性看護 64名

女性と母子に対する専門看護を行う。主たる役割は、周産期母子援助、女性への健康の援助に分けられる。

慢性疾患看護 149名

生活習慣病の予防や、慢性的な心身の不調とともに生きる人々に対する慢性疾患の管理、健康増進、療養支援などに関する水準の高い看護を行う。

急性・重症者看護 223名

緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な漢語を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるように支援する。

感染症看護 44名

施設や地域における個人や集団の感染予防と発生時の適切な対策に従事するとともに感染症の患者に対して水準の高い看護を提供する。

家族支援 52名

患者の回復を促進するために家族を支援する。患者を含む家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的、精神的、社会的に支援し、水準の高い看護を提供する。 36名

在宅看護

在宅で療養する対象者及びその家族が、個々の生活の場で日常生活を送りながら在宅療養を続けることを支援する。また、在宅看護における新たなサービスの連携促進を図り、水準の高い看護を提供する。

遺伝看護 0名

対象者の遺伝的課題を見極め、診断・予防・治療に伴う意思決定支援とQOL向上を目指した生涯にわたる療養生活支援を行い、世代を超えて必要な医療・ケアを受けることができる体制の構築とゲノム医療の発展に貢献する。

災害看護 0名

災害の特性をふまえ、限られた人的・物的資源の中でメンタルヘルスを含む適切な看護を提供する。平時から多職種や行政等と連携・協働し、減災・防災体制の構築と災害看護の発展に貢献する。

認定看護師

2016年1月現在、登録されている分野は以下の21分野です。資格の保有者は全国に17,250名います。

救急看護 1,104名

救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施。

災害時における急性期の医療ニーズに対するケア。

危機状況にある患者・家族への早期介入及び支援。

皮膚・排泄ケア 2,286名

褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理。

患者・家族の自己管理およびセルフケア支援。

集中ケア 1,101名

生命の危機状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防。

廃用症候群などの二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施。

緩和ケア 2,007名

疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫などの苦痛症状の緩和。

患者・家族への喪失と悲嘆のケア。

がん化学療法看護 1,449名

がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理。

副作用症状の緩和およびセルフケア支援。

がん性疼痛看護 755名

痛みの総合的な評価と個別的ケア。

薬剤の適切な使用および疼痛緩和。

訪問看護 546名

在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援およびケースマネジメント看護技術の提供と管理。

感染管理 2,529名

医療関連感染サーベイランスの実践。

各施設の状況の評価と感染予防・管理システムの構築。

糖尿病看護 820名

血糖パターンマネジメント、フットケア等の疾病管理および療養生活支援。

不妊症看護 162名

生殖医療を受けるカップルへの必要な情報提供および自己決定の支援。

新生児集中ケア 372名

ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防。

生理学的安定と発育促進のためのケアおよび親子関係形成のための支援。

透析看護 220名

安全かつ安楽な透析治療の管理。

長期療養生活におけるセルフケア支援および自己決定の支援。

手術看護 463名

手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理。

周手術期における継続看護の実践。

乳がん看護 316名

集学的治療を受ける患者のセルフケアおよび自己決定の支援。

ボディーイメージの変容による心理・社会的問題に対する支援。

摂食・嚥下障害看護 668名

摂食・嚥下機能の評価および誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防。

適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択および実施。

小児救急看護 249名

救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施。

育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護。

認知症看護 805名

認知症の各期に応じた療養環境の調整およびケア体制の構築。

行動心理症状の緩和・予防。

脳卒中リハビリテーション看護 635名

脳卒中患者の重篤化を予防するためのモニタリングとケア。

活動性維持・促進のための早期リハビリテーション。

急性期・回復期・維持期における生活再構築のための機能回復支援。

がん放射線療法看護 223名

がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフエア支援。

安全・安楽な治療環境の提供。

慢性呼吸器疾患看護 244名

安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた呼吸器機能の評価および呼吸管理。

呼吸機能維持・向上のための呼吸リハビリテーションの実施。

急性増悪予防のためのセルフケア支援。

慢性心不全看護 296名

安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた生活調整及びセルフケア支援。

心不全増悪因子の評価およびモニタリング。

専門看護師と認定看護師の分野について記載しましたが、専門分野の数は全然違いますよね。専門看護分野は「がん看護」や「老人看護」のように大きなくくりになっていますが、認定看護分野は細分化されており、がんに関係する分野には「がん化学療法看護」「がん性疼痛看護」「乳がん看護」「がん放射線療法看護」の4種類に分けられています。専門看護師も認定看護師も両方とも、特定の分野のエキスパートになるという点は同じですが、求められている知識や能力、ポジションなどに違いがあるのです。専門看護師は非常に広い範囲の知識や技術が必要となるので、認定看護師以上に特定の分野のエキスパートと言えるのではないでしょうか。

資格の取得条件・方法

専門看護師と認定看護師は、資格の取得するための条件や方法が異なります。

専門看護師

日本での看護師免許を有しており、①看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位を取得していること、②実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること、という条件を満たしていなければ、専門看護師の認定審査を受けることができません。専門看護師になるために学ぶ大学院はどこでもいいわけではなく、日本看護協会が指定している大学院で学ぶ必要があります。

すべての条件を満たすことができれば、認定試験を打受けることとなります。認定試験は筆記試験と面接がありますが、年に一度しかチャンスはありません。認定試験に合格すると、専門看護師の認定書が交付され、専門看護師として登録されることとなります。

5年毎に更新審査を受ける必要があるので、資格を取得した後も常に学び、実践をしていかなければなりません。

認定看護師

日本での看護師免許を有しており、看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)という条件を満たす必要があります。これらの条件を満たすと、日本看護協会が指定した6か月間・615時間以上の研修を受け、認定看護師として活躍するために必要な知識を学ぶのです。研修は原則として連続した昼間の教育を受ける必要があるので、仕事との両立は難しいかもしれません。研修を受ける場所は、専門分野によって異なります。自宅から遠い場合は、一時的な引っ越しをすることやウィークリーマンションの契約が必要です。

研修が終了すると、毎年1回5月に全国の5会場で開催される「認定看護師認定審査」を受けます。認定審査に合格後登録を完了することで、認定看護師としての仕事が開始となります。専門看護師と同様、5年毎に資格更新のために更新審査を受ける必要があります。

専門看護師と認定看護師の選び方

専門看護師と認定看護師は、資格の持つ役割や資格の取得方法、種類などが大きく異なります。どちらを目指すか悩む方もいるのではないでしょうか。どちらを選ぶほうが自分にとっていいのか、以下を参考にしてください。

専門看護師を目指したほうがいい方

お金がかかっても高い専門性を持つ看護師になりたい人

専門看護師の資格を取得するための条件として、大学院修士課程を修了しなければなりません。2年間は大学院へ通う必要がありますが、その間は学費や生活費などの金銭的負担も大きくなります。金銭的負担が大きくても高い専門性を身に着けたい方には、専門看護師のほうが向いているかもしれません。

患者さんだけでなく看護職員のケアもしたい人

専門の看護分野の中で患者さんや家族に対してケアを行いますが、他にも看護職員に対してもケアを行う必要があります。様々な悩みを持つ看護職員とかかわることは大変ですが、やりがいを感じることができるのではないでしょうか。

臨床研究や院内の研修を行いたい

専門看護師は病院内で開催される研修の企画や運営などの支援を行いながら教育活動を行います。また、要請に応じて病院外の研究活動を行うこともあるので、研究を行いたい方にとっては向いています。

認定看護師を目指したほうがいい方

特定の分野を極めた人

専門看護師と異なり、認定看護師は分野が細分化されています。その分野を極め、専門性の高い知識や技術、経験を生かし、質の高い看護を現場で実践することができます。

勤務をしている中で、自分の看護に対し不安を起こったことがある

認定看護師の資格を取得する際に、半年間の研修を受けますが、その中で専門分野に対しての深い知識や技術を得ることが可能です。知識や技術を身に着けると、自分が行う看護に自信を持つことができるようになるのではないでしょうか。

短い期間で資格を取得したい

専門看護師になるためには実務研修5年以上に加え、大学院に2年間通う必要があります。しかし、認定看護師になるためには実務経験5年以上ということは同じですが、研修期間は半年間です。専門看護師と比較すると短い期間で資格を取得することが可能です。

まとめ

専門看護師と認定看護師について比較してみました。あなたはどちらのほうが興味がありますか?

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