【体験談】プリセプティ制度の良かった面と辛かったこと

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病院によっては新人さんのために「プリセプティ・プリセプター制度」をとっているところが多いです。これはどんな制度かというと、一人の新人看護師(プリセプティ)に対して主に3年目以上の看護師(プリセプター)が担当となって、新人さんの悩みなど精神的なサポートや技術や知識の習得などをサポートする制度です。場所によってプリセプターが担当プリセプティの専属の教育担当のような役割をして、看護師の基本から教えているところもあれば、精神的なサポートのみで技術面などは病棟全体で教えていこうというところもあります。

私もこのプリセプター制度を受けて新人の頃は教育されてきました。今ではプリセプターの役割を担っています。プリセプターは大体、看護師の経験年数が3年目以上の方が担うことが多いように思います。あまり経験年数の離れた人だと一年生が相談しにくいのではないかということも考慮して、かなりのベテランがプリセプターになることは少ないように思います。この制度はマンツーマンで担当がつくことで、しっかりその人に合わせた教育を行うことができ、技術や知識面だけでなく、精神的な部分まで総合的にサポートできるというメリットがあると私は思います。うまくいけばいいシステムであると思います。

しかしこの制度にはいい面だけでなく、悪い面もあると思います。自分や私の同期が経験し、プリセプティの時に悩んだことやこれまで見てきたプリセプティ・プリセプター制度のつらい部分を紹介していきたいと思います。

■担当のプリセプターとの相性が良くない

基本的にプリセプティが自分のプリセプターを選ぶことはできません。病院によっては、しばらくは担当をつけずに新人さんの性格などをみて担当のプリセプターを決めていくところもありますが、入職したときには担当のプリセプターがすでに決まっているところもあります。相性がいい先輩であれば、プリセプティ・プリセプター制度がすごくいい制度で、充実した1年目を送ることができると思います。なんでも相談できて、プライベートでも一緒にご飯食べに行ったりして仲良くしてもらい、自分も「こんな先輩になりたい!」と目標を持つこともできると思います。そうなることが一番いいことだと思います。

自分専属の先輩がつくことで、マンツーマンで教えてもらえるというメリットがある反面、プリセプターと性格や考え方が合わないと苦痛でしかない状態になってしまうこともあります。この制度は大体新人の1年間続くことが多いのでつらい1年間になってしまいます。また一年目は精神的にも負担が大きく「どうやって勉強していったらいいかわからない」「自分ひとりだけほかの1年目よりも遅れている気がする」「患者さんとうまくコミュニケーションがとれない」など知識や技術のことだけでなく、さまざまな不安が生まれてきます。

これらをまず相談するところがプリセプターなのに、相性がよくなかったりすると、相談することも不安や苦痛の一つになってしまい、さらに精神的な負担が増えることにもなりかねません。

私の同期もプリセプターとうまくいっていませんでした。特にいじめを受けているとかではなかったのですが、相談しても当たりがきつかったです。私たちは1年生の時に1年目に対してだけ強く当たってくる患者さんがおられ、その方とのコミュニケーションに1年目みんなが悩んでいた時期がありました。病状がそれほど重くないため1年目が担当となることも多かったのです。私も担当のプリセプターに相談に乗ってもらったりしていました。しかし同期の中の一人は、プリセプターに相談しても、「そんなことなんだ」といわれただけで終わったと言っていました。そのプリセプターは、仕事は自分のことだけしかせず、他のスタッフともあまり必要以上に仲良くしようとするタイプではなかったので、プリセプティ・プリセプター制度はただ仕事が増えるだけで、深くかかわりたくなかったのではないか、と思いました。

そのプリセプティはいつも私たち同期に相談してなんとか1年目を乗り越えました。しかし1年目にとって、先輩の時はどうだったのか、先輩の時はどうして対応していたのかというアドバイスをもらえることはすごく心強いのです。先輩も私たちと同じような経験をしているけど、今はしっかり看護師の仕事をこなしている姿をみると、みんな通る道なんだなと思い、少しでも不安が解消されることもあると思います。その頼りとなるプリセプターとうまくいかないとほんとにつらい1年になってしまうと思います。1対1であるからこそ出てくる悩みではないかな、と思います。

またプリセプターといえばプライベートでご飯とかも連れて行ってくれる…と期待する人も多いのではないかなと思います。でも必ずしもそうではないと思います。仕事は仕事だけと割り切っている人もいるし、看護師はシフト制であるし、仕事が忙しすぎて時間が合わなかったりして、そのような機会をとれないところも多いです。ほかの病院の友達がプリセプターにご飯連れて行ってもらったといっていても、私はそんなことないと落ち込むことはないと思います。仕事上で相談にちゃんと乗ってくれたり、指導をしてくれていれば、それはいいプリセプターだと思います。

私もこれは少し期待していて一緒にご飯に行ったこともありますが1回くらいです。私だけでなく同期みんなそんな感じで行ったことのない人も多かったです。これは自分がプリセプターになって感じたことですが、勤務の合う日を探すのも一苦労で、仕事終わりは忙しい病院だったので終わる時間の予測ができず、休みの日は新人さんがしんどいかなって思うとほんとに合う日がないんです。

またプリセプターの学年はほかにも仕事を任されることも多くて忙しくなるのでその点も大変でした。プリセプターとのプライベートのかかわりがないからといって嫌われているとか、合わないのではないかということで思い悩む必要はないと思います。

■プリセプターが頼りにならない

プリセプターとの性格や考え方などの相性が良くても頼りにならないプリセプターに当たるとそれもつらいです。プリセプターに看護師としての技術や知識も指導してもらうことも多いと思います。しかしそのプリセプター自身の知識や技術がちゃんとできていないと、それを教えてもらうプリセプティの知識や技術もきちんと身につかないことになります。特にプリセプターがプリセプティの全般の教育を担っているところだと問題になるのではないかなと思います。

私は1年目の時は採血がなかなかうまくならなくて悩んだ時期があります。模型では上手にできるのに、実際の患者さんだとうまく取れないことが続いた時期がありました。そこでプリセプターに「採血の練習に付き合ってほしい」とお願いしたことがあります。だけどそのプリセプターも病棟の中で採血が下手で有名な看護師だったので、「私も全然取れないんだよねー。」と言われ、一緒に技術の教科書を読んだだけで終わりました。私としては教科書にはのってない採血のコツだったりとか、私の技術をみてどこができていないのかなどをアドバイスもらいたかったのです。

教科書を読むくらいなら私一人でできるのに…と思ったことがあります。結局どうしたのかというと、私は採血の上手な先輩看護師にお願いして、患者さんの採血に行く時に一緒についていき上手な方の技術を何度も見せてもらいました。見せてもらうだけなら、指導してもらうわけではなく、そばにいるだけなのでいいかなと思い、そうしました。見せてくださいだけなら快く引き受けてくれる先輩が多かったです。採血しながらこういう時は、私はこうするのーというコツも教えてくれる先輩もいて助かりました。そして自分もそのやり方を真似して練習して、採血もうまくできるようになりました。またプリセプターから引継ぎをもらうと患者さんの環境整備がきちんとできていなくて、これは…と思うこともありました。そういう時は「私は、これはきっちりしよう」と反面教師にして気を付けるように切り替えて考えていました。ナースコールがなっても全然取らず、自分のことばかりで、他の看護師がどれだけ忙しそうでも手を貸したりもしない人もいます。

看護師はチームで働いているし、処置には複数人の手が必要な処置もあったりします。そのため、看護師同士で調整して協力しなければならないのに全く協力せず、自分の時は、誰か手を貸してと声をかけたときに誰も手を貸してくれないと、ものすごく文句を言う先輩もいます。

これはちょっとなー、と思うことがあっても、先輩だから指摘することはなかなかできませんでした。そういう場面に出会うたびに「私は、これはしないでおこう」と思うようにしていました。

また新人看護師にはさまざまな課題も出ます。病態のレポートとかです。これのわからないところを相談しても、私の担当のプリセプターは一緒に教科書を読むだけでした。教科書の書かれている意味が分からないと相談しても、「私も難しいことはわからないんだけどー」と言われて終わりでした。なんの課題を提出しても「いいと思うー」の一言で終わってしまうので、「ほんとにいいのかな…」と思ってしまいました。

また、患者さんの病態についてわからないことがあり、質問しても「わからんなー。とにかく指示通りのことしておいたらいいよ。」と言われたこともあります。患者さんの病態もわからないまま薬を投与したり、なんでこの指示が出てるんだろうと思いながら、指示を受けることはとても怖いことであると思います。

これは本当にたまにあることですが、先生はたくさん患者さんを担当しているので、違う患者さんだと思って間違えて指示を入れてしまうこともたまにあります。その時に気づけるのは、指示を受ける看護師だけなのに、それに気づくこともできなくなってしまいます。私はそれがとても怖くて、ほかの同期に聞いたり、他の同期のプリセプターに聞いてもらって教えてもらったりしていました。こういうことが多いと自分の担当のプリセプターのこともだんだん信用できなくなってしまいました。すごくいい人であることはわかっていて、精神的にしんどい時の相談とかはちゃんとのってくれるのですが、看護師としての技術や知識に関することだと頼りにならなくて残念だなと思いました。私がちゃんとできていないとプリセプターが何かほかの先輩に言われるかもしれないし、私も怒られることもあって嫌な思いをすることになったので困りました。私がプリセプターをやるときはきちんと根拠をもって指導できるようになろうと心に決めたのもこの先輩に出会えたおかげだと思います。

直接ほかのプリセプターに聞いてもよかったのですが、「なんで自分のプリセプターに聞かないの?」と言われたりするとうまく理由が言えなくて。相性が悪いわけではなかったので、自分のプリセプターの立場を考えると、他のプリセプターに相談したり、質問することはなかなかできなかったです。私のいた病棟はそんな雰囲気がありました。きちんとした指導が受けられなかったり、プリセプターの力量によって指導内容が違うことがあるととても困るし、それによって「私だけ1年目の中で遅れている…」という不安が出てきたりすることもあると思います。

大体3年目になったらプリセプターをやることになっている、みたいなラダー教育があったりするので、そうではなくてプリセプターになる力量のある看護師がプリセプターをしてほしいと思いました。看護師の経験年数だけを見てきめているところが多く、プリセプターになれるかどうかの基準がしっかりないところも多いように思います。

これを防ぐためにプリセプターの総括のような担当看護師がいるところもありますが、ないところもあります。このような状態にならないようにするシステムも整っていないところがあるかな、と感じています。

■プリセプターによるいじめ

私がプリセプティ・プリセプター制度で一番最悪だと思うのがプリセプターによるいじめです。ただ単に性格的に合わないだけなら、仕事と割り切って必要な時だけ関わるなどすればいいと思いますが、いじめにまで発展してしまうこともあります。自分担当のプリセプティができていないことなどがあるとプリセプターに報告がいくことがあります。そのあと指導してもらってできるようになっていくというのが普通だと思いますが、プリセプターの中には「あの子は何を教えてもできない」などと決めつけていじめをしてくる人も少数ではありますが、います。これはプリセプターの人間性に問題があるのかなと思っています。一年生を支える立場にあるプリセプターが新人の居場所をなくすような行動をとることは、ほんとにおかしなことだと思います。

違う病棟の私の同期がプリセプターからのいじめが原因で病院に来ることができなくなってやめてしまいました。ほかの看護師たちにできないところばかりを言いふらし、何をしても上げ足をとるようなことを言われ続けて、仕事をすることが怖くなったと言っていました。看護師の世界はまだまだ女の世界です。病棟内で権力のある看護師がそのような行動をとると、他の、おかしいなと思っているスタッフも、自分が標的にされるのは嫌だから、なかなかかばってくれたりできないという雰囲気もあります。その子は一人で抱え込んで精神的に病んでしまって病院に来ることができなくなりました。

他にも、できていないところを言いふらしたりしていなくても、質問などをすると「これはみたの?ここはなんで?どうしてそういう考えになるの?」とほかのスタッフがいる前で患者さんにも聞こえるほどの声で攻め立てられていた人もいました。その方は社会人を経験してから看護学校にいって看護師の資格をとった方で、他の一年生よりも年齢がいっていて、プリセプターの方が年下でした。ナースステーションでならまだましですが廊下や患者さんのお部屋のすぐ前でも言われていて、患者さんたちが心配そうに見ていることもありました。そんなことがあると、心配してくれる患者さんならまだいいですが、患者さんにあの人はできない看護師なんだなと思われてしまうことにもなると思います。いくらプリセプターで指導をしているといってもこのような見せしめのようなやり方をする人もいるんだなと思いました。その人は指導してもらってると思って必死で耐えていました。でももっとやり方とか言い方があるんじゃないかと思うとも話していました。しかも年下の人にここまで言われると、プライドも傷つけられただろうなと思います。

私はこういうことがあれば、一人で抱え込まずに副師長や師長さんに相談するべきだと思います。それで副師長や師長が全然取り合ってくれない等があれば、副看護部長や看護部長などさらに上の人に相談していいと思います。師長さんや副師長さんによってはこのようなことが目の前で起きていても知らん顔をする人もいます。なのでそういう場合はちゃんと話を聞いてくれる上司に相談することが大事ではないかなと思います。相談して配置換えにしてもらった同期もいますが、辞めてしまった子は師長さんたちにも相談できていませんでした。きちんとした病院であれば、しっかり対応してくれるはずです。そうでなければほかにも働く場所はたくさんあるので、今後のことを考える方がいいのかもしれません。こんなことでせっかく苦労してとった看護師の資格を無駄にするようなことになってほしくないと思います。

自分の心が元気でないと患者さんに心のこもったケアはできないし、悪循環が生まれます。おかしいなと思うことは、まずはきちんと上の人に相談してみてください。

プリセプターとの関係性は充実した1年目を送るためにも良くしておくに越したことはないと思います。私がプリセプティもプリセプターも経験してこれは知っておいた方がいいと思うことを最後にまとめておきたいと思います。どんなことがあっても挨拶はきっちりした方がいいと思います。これだけで印象が大きく変わります。最近は挨拶できない新人さんが増えてきてそれは病院でも問題になっていることです。基本的なことはきっちり行いましょう。

それと提出物は期限の1日前に提出して一言声をかけるかメモを残しましょう。これは看護師の世界だけでなく社会人としてしなければならないことだと思います。看護師の仕事はシフト制なので提出期限の日に受け取れないこともあるので気を付ける必要があると思います。

また、少しキツイ言い方をされたからといって自分自身を責めないでほしいと思います。看護師の仕事は忙しく、タイミングによってはそっけない言い方をされたり、キツイ言い方をされることもあると思います。

しかしそれ一回だけで「私はできない」と決めつけるのではなく、状況を客観的にみて、先輩に言われたことが正しいかどうかを一度考えて見てください。自分にも落ち度があったなら、1度言われてことは2度はしないように心がけてください。それでも必要以上に責められるならそれはプリセプティのせいではないと思います。一人で抱え込まず誰かに相談するようにしてください。相談することも勇気が要るかもしれませんが、それで働きやすくなる可能性があるなら相談してみるべきだと思います。

最近は病棟で相談しにくければ病院の中に相談するところがあったりするので、そこに相談することもいいかもしれないです。プリセプティの方が少しでも私が挙げたようなつらい思いをせず、充実した看護師人生を歩めるように願っています。

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