保育園で働く看護師の仕事内容とメリットとデメリット

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看護師の勤務先として最初に思い浮かべるのは病院ではないでしょうか。しかし、最近は病院以外で活躍する看護師が非常に多いです。中でも、最近は「保育園」での看護師の仕事が人気となっています。

しかし、周りに保育園で看護師として勤務している方はほとんどいないのではないでしょうか。どんな仕事内容なのか、給料は高いのか、誰でも保育園で看護師として勤務することはできるのかなど紹介しますので、転職や就職の際に参考にしてくださいね。

保育園とは

まず、保育園がどのようなものなのか見ていきましょう。

「保育所は、保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の元から通わせて保育を行うことを目的とする施設」と児童福祉法で定められています。

出典:児童福祉法 第39条

「保育所」と「保育園」は同じ意味ですが、「保育園」と「幼稚園」は異なる点があります。

保育園

  • 管轄:厚生労働省
  • 保育時間:8時間以上
  • 入園できる年齢:0歳~小学校入学前
  • 1年間の保育日数:規定なし

幼稚園

  • 管轄:文部科学省
  • 保育時間:4時間以上
  • 入園できる年齢:満3歳~小学校入学前
  • 1年間の保育日数:39週を下回らない

最近は共働きの世帯が増加しており、保育園は無くてはならない存在ですよね。平成27年に行われた調査によると、保育所等を利用する児童の数は233万人で、前年比63,845人の増加ということが分かりました。

出典:厚生労働省 保育所等関連状況とりまとめ 1ページ目

中には夜遅くまで保育を行っている施設もあるようですね。

保育園の看護師の仕事

保育園での看護師の仕事内容は、病院とは全然違います。しかし、詳しい仕事内容はあまり知られていませんよね。保育園で働く看護師の仕事内容をいくつかみていきましょう。

怪我や体調悪化時の対応

どんなに保育士が気を付けていたとしても、保育園で預かっている子供が保育園で過ごしている間に怪我をしてしまうことがあります。また、急に体調が悪くなってしまうこともあるでしょう。その際、子どもの変化に気付いた保育士の報告により、怪我や体調悪化時の対応を行うのです。

園内で対処できる範囲の怪我や体調の変化ならいいのですが、時には病院に受診する必要があることもあります。園内で対処可能か、それとも病院へ受診したほうがいいかなどを判断し、病院に連れていくことも看護師の役割です。病院では医師の指示に従って看護を行えばいいのですが、保育園には医師はいません。医療関係者も看護師一人ですので、責任をもって適切な行動をとる必要があります。

薬の管理

保育園に通う子どもの中には持病のある子どももおり、薬を内服・使用している場合もあります。子どもは自分で薬の管理を行うことは難しいため、薬は看護師が管理をすることとなる場合が多いです。看護師はそれらの薬の薬効や副作用、使用方法などを把握し、適切な使用ができるようにしなければなりません。

また、重度のアレルギーがある子どものエピペンや喘息の吸入器など、その子どもに起こりうる症状へ対応できる薬剤を保育園側が預かる場合があります。これらの薬の管理や使用も看護師が行うこととなりますので、緊急時に慌てなくて済むように薬の対する知識を深めておくようにしましょう。

感染症予防

保育園はたくさんの子供がいます。もし、子どもの一人でもインフルエンザやノロウイルス、手足口病などの感染症にかかり適切な管理が行われないと、全園児に感染の危険性があるのです。

もし、感染症の疑いがある園児がいれば、厚生労働省が出している「保育所における感染症対策ガイドライン」に沿って対応しなければなりません。また、風邪や感染症を予防するために、手洗いやうがいなどの予防行動を園児だけでなく保育士にも指導する必要があります。

保護者への健康指導

子どもの健康を維持するためには、保育園だけでなく保護者の協力も必要ですよね。そのため、看護師は保護者に向けた「ほけんだより」などの手紙を発行することや保護者との面談、健康に関する相談などを行います。

保育園で看護師として働くには

仕事内容が病院とは大きく異なる保育園の看護師ですが、誰でも勤務することが可能なのでしょうか。

多くの保育園で、看護師の募集については「看護師免許を持っていること」となっています。あまり具体的ではありませんね。実は、保育園で看護師として勤務するには、いくつか条件があります。

正看護師か保健師の免許があること

まず、正看護師か保健師の免許が必要となります。皆さんご存知のように、准看護師の資格は保健師助産師看護師法にて「都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、傷病者若しくはじよく婦(褥婦)に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」と定められています。

出典:保健師助産師看護師法 第六条

保育園内には医師や歯科医師は勤務していません。そのため、准看護師が一人で業務を行うことはできません。日本看護協会は、平成27年に「准看護師が療養上の世話を業として行うためには、医師、歯科医師または看護師の指示が必要とされており(保健師助産師看護師法)、看護師と准看護師については資格取得に係る要件が全く異なります。そのため、准看護師までの拡大については、容認できません」と厚生労働省・児童家庭局に文面を出しています。

出典:保育所における看護師又は保健師の配置に関する要望

保育園での看護師の募集については「基本的には正看護師のみ」であると考えておきましょう。准看護師の免許を持っていて保育園で勤務したいと考えている方は、看護師の配置が多い保育園を選ぶか、正看護師の免許を取得するようにしましょう。

小児科での勤務経験がある

看護師の募集に対し複数の応募があった場合、小児科での勤務経験のある看護師が優先的に採用されることがあります。保育園で看護師が看護を行う対象は、基本的には子供です。そのため、子どもの健康状態や疾患、かかわり方などの知識や経験が豊富な看護師が求められますので、小児科での勤務経験があるほうが優遇されるのではないでしょうか。

看護師経験が最低でも3年以上あるほうが望ましい

保育園の看護師の募集について、経験年数まで書かれているものは少ないです。しかし、保育園で勤務する看護師の人数は少なく、看護師一人での判断が求められます。そのため、新人看護師よりも多くの知識や経験のある看護師のほうがいいでしょう。新人看護師で保育園での勤務をしたいと考えている方は、できれば3年以上は病院で勤務をしてから保育園での看護師を目指すようにしましょう。

看護師の配置基準

皆さんの勤務している施設には、どのような配置基準がありますか?病院や診療所など看護師が勤務する施設では、配置基準が以下のように定められています。

・一般病院 急性期7:1~10:1

      急性期・亜急性期13:1

      亜急性期15:1

・療養病床 重傷者が多い20:1

      重傷者が少ない25:1

・回復期リハビリ病床 重症患者3割以上13:1

           重傷者2割以上15:1

・精神病床 精神救急10:1

      精神急性期13:1

      精神一般・療養15:1

      精神療養18:1~20:1

また、正看護師の比率も決まっており、急性期や精神救急などでは正看護師が70%以上でなくてはいけません。看護師の配置基準は病院だけでなく、保育園でも定められているということをご存知でしょうか。

平成25年の資料によると、市(公立)の保育園の場合、各保育園に1人の看護師の配置が義務付けられています。

出典:保育所勤務職員の配置基準 2ページ目

病院の場合は、患者さんの人数によって看護師の人数も変化します。しかし、保育所の場合は「各施設1人」としか定められていません。そのため、保育所に通う子どもの人数が10人でも100人でも、看護師は一人でもいればよいということになるのです。

2008年に発表された全国の保育所の実態調査の結果によると、各保育所に勤務する看護師・保健師の平均人数は0.2人ということが分かりました。

出典:全国の保育所実態調査 報告書 全国保育協議会 11ページ目

保育園で看護師として勤務することができるということを知らない方や、看護師の確保が難しい保育園もあるのかもしれません。また、平成24年に行われた看護師の就業先に対しての調査によると、病院や診療所で勤務する看護師は約82%いるのに対し、保育園も含まれる「その他」と回答した人は1%しかいないということもわかりました。

出典:看護職員の現状と推移 4ページ目

現在、保育園で勤務する看護委の人数は非常に少ないといえます。しかし、今後さらに保育園の数が増えることが予想されますので、保育園で勤務する看護師の人数も増えると考えられます。

保育園で働く看護師の給料

あまり知られていない保育園勤務の看護師ですが、給料はどうなのか見ていきましょう。

日本看護協会が行った調査によると、フルタイム勤務の正規職員の看護師について、非管理職の2013年1月支給分の賃金額の平均は、給与月総額35万2.157円、基本給月額25万4,583円(平均年齢36.1歳)であったということが分かりました。中間管理職(主任以上)では、給与月総額43万1,338円、基本給月額32万2,786円(平均年齢46.5歳)であり、管理職(副看護部長以上)では、給与月総額49万4,933円、基本給月総額37万983円(平均年齢53.7歳)ということもわかりました。

出典:2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査 報告書 8ページ目

一方、保育園勤務の看護師だけを集めた給料の調査はありませんが、多くのところが平均年収300万円~350万円となっているようです。病院で働く看護師よりも少ない額ですが、夜勤がないことや残業が少ないことなどが理由として考えられます。また、勤務する保育所が民間か、それとも公立かによっても違いが生じるようです。民間の保育園の場合、給料の設定は保育園で決めることができます。しかし、公立の保育園の場合は公務員の規定通りの給料設定となるようです。

保育園で勤務する場合、給料はあまり期待できないと考えておきましょう。

メリット

給料は少し少ないですが、保育園で勤務することでメリットがあります。いくつか見ていきましょう。

夜勤や残業がない

入院施設のある病院で勤務する場合、看護師は夜勤をする必要がありますよね。夜勤を行うことで身体的にも精神的にも疲れてしまうのではないでしょうか。中には、夜勤を理由に看護師をやめたいと考えている方もいるかもしれません。保育園の場合、子どもたちは保護者のお迎えがあれば帰宅します。そのため、夜間に子供はいませんので、看護師は夜勤を行う必要がありません。

また、認可保育園の場合、保育時間は原則8時間となっています。9時から保育が開始だったとすると、17時には保育終了です。延長保育や夜間保育を行っている施設もありますが、これらの対応は保育士が行うため、看護師は仕事が終われば帰宅することができます。また、病院に勤務していると急変や緊急入院などの対応のために長時間の残業を行わなければならないことがありますよね。しかし、保育園には急変も緊急入院もありません。そのため、残業を行う時間も病院と比較すると短くなっています。

元気な子どもとかかわることができる

子どもが好きで、小児科病棟や小児科病院で勤務している方もいるのではないでしょうか。しかし、病院にいる子どもたちは、みんな体のどこかに病気や障害があります。看護をしていてつらくなる時はありませんか?

保育園には元気な子どもがたくさん通っています。看護師は体調に変化が生じたりけがをした子どもとかかわることがメインとなるかもしれませんが、時には保育士の方と一緒に子ども達と遊ぶこともできるようです。

子どもが好きな方にとって、元気な子どもとかかわることができるということは、非常にうれしいのではないでしょうか。

デメリット

では、デメリットにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

求人が少ない

まず、求人が非常に少ないです。看護師を採用している保育園はまだまだ少なく、探しても見つからないかもしれません。病院の場合、看護師の入れ替わりが非常に激しいため、常に求人がある状態ですよね。しかし、保育園の看護師の場合、元の採用人数が少ないですし、保育園で勤務する看護師はすぐには退職しません。そのため、求人が非常に少なくなっています。

また、看護師の転職サイトやハローワークなどの就職・転職に関する会社に登録し、就職・転職活動を行っている方も多いので、すぐに希望する条件と一致する病院が見つかると思います。しかし、病院はたくさんの登録がありますが、保育園はほとんど登録がありません。もともとの登録が少ないうえに、求人が出るとすぐに応募が殺到するため、普通の探し方をしていても保育園に就職することはできません。どうしても保育園で就職をしたいと考えているのであれば、看護師の転職サイトに登録し、担当のスタッフの方に「保育園の求人があればすぐに連絡がほしい」と伝えるようにしましょう。全体に公開される前に、あなただけに教えてくれるかもしれません。

給料が少ない

保育園で勤務する看護師は、基本的には常勤・非常勤問わずに残業はほとんどなく定時で帰宅することが多いです。そのため、残業代はほとんど発生しません。また、当然夜勤をすることもありませんので、夜勤代も発生しませんよね。看護師の給料の基本給はあまり高くありませんので、残業代や夜勤手当などの手当の部分で給料の金額が左右されます。そのため、残業や夜勤を行うことのない保育園の場合、どうしても給料が少なくなってしまうのです。

保育園で看護師として勤務を考えている方は、給料に関しては期待しないようにしましょう。

看護師としての技術が落ちる可能性

病院で勤務をしていると、毎日のように検温や清拭やおむつ交換などのケア、採血やドレーンの管理などの医療行為を行いますよね。回数をこなす中で、技術の向上につながるのではないでしょうか。

しかし、保育園ではケアを行うことや医療行為を行うことはほとんどありません。そのため、看護師として磨いてきた技術が低下する可能性が高いです。また、病院のように研修や勉強会があるわけでもありませんので、自分で外部の研修に参加しなければ新しい情報を得ることもできません。

看護師としての技術を落としたくない方や常に新しいことを学びたいと考えている方は、保育園での勤務をやめたほうがいいかもしれませんね。

まとめ

保育園で勤務する看護師について紹介しました、病院などの医療施設とは仕事内容が大きく違うということが分かりましたか?慣れるまでは大変かもしれませんが、元気な子ども達とかかわることができるのは非常に大きなメリットではないでしょうか。

子どもが好きな方は転職や就職活動を行う際、保育園での勤務も検討してみてくださいね。

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