看護師が抱えるストレスとストレスの原因との向き合い方

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あなたはストレスを感じることなく、看護師として働くことができていますか?きっと、ストレスを感じることなく看護師として働いている方はほとんどいないと思います。看護師として働いていると、毎日何かしらストレスを感じてしんどい思いをすることがありますよね。しかし、ストレスの感じ方は人によって異なり、周りに理解してもらえないこともあるのではないでしょうか。看護師として働いていると、どのような場面でストレスを感じることがあるのか、ストレス解消をどのように解消するとよいのか紹介します。

看護師のストレスの実態

2013年9月~11月に行われたストレスに関する調査によると、看護師として働いている方の中でストレスを感じている割合は、臨時・パート職員で「フルタイム」の方が56.2%、「フルタイム以外」の方で41.7%、正職員の方で68.9%という結果がでました。

出典:看護職員の労働実態調査「報告書」 53ページ目

調査を行った期間が二か月間ですので、その間以外にストレスを感じている方も多いと予測できます。そのため、看護師として何らかのストレスを感じている方は、調査結果よりも多いと考えられるのではないでしょうか。また、強いストレスの要因についても結果が出ており、「仕事の量の問題」が46.6%、「仕事の質の問題」30.3%、「職場の人間関係」28.4%、「仕事への適性の問題」19.8%、「勤務先の将来性の問題」13.2%、「事故の不安」11.9%ということもわかっています。

出典:看護職員の労働実態調査「報告書」 55ページ目

では、強いストレスの要因となっている原因について詳しく見ていきましょう。

仕事の量・質の問題

強いストレスの要因の中でもっとも回答者が多かったのが「仕事の量の問題」です。皆さんも、「仕事の量が多いな」と感じることがあるのではないでしょうか。

看護師として病院に勤務していると、様々な仕事を行わなければいけませんよね。通常の検温や問診、情報収集などに加え、入院患者さんのいる病院では入退院やナースコールの対応も行う必要があります。また、急変を起こした患者さんやなくなってしまった患者さんのケアや処置も、普段の業務に並行して行わなくてはなりません。

看護師としての仕事内容は、「看護」だけではありませんよね。患者さんからのクレームを受けた際には対応をしなければなりませんし、勉強会の資料作成やサマリー作成、委員会や係への参加も必要となります。ただでさえ普段の仕事が忙しいのに、これらのあまり看護とは関係のない業務もしなければならないことで、普段の仕事が圧迫されてしまうことも多く、これがストレスを引き起こしている要因となっているのではないでしょうか。

現在、日本は看護師不足が深刻化していますが、仕事の量は年々増加しています。高度な医療を提供する場面が増えるほど覚えないといけないことが増えますし、患者さんに対して同意書を頂く書類の数も増えています。また、高齢化社会になるとともに、認知症の患者さんの割合も増加していますよね。検温と入院の受入を行いながら手術出しを行い、その間に認知症の患者さんを交替で見ながらナースコールの対応をし…と、休まる時間はありません。当然、勤務時間内にカルテを書き終わることもなく、遅くまで残らなければならないということもあります。

このような勤務内容が毎日続くと、非常にストレスが溜まってしまいますよね。

職場の人間関係の問題

皆さんも、人間関係に対してストレスを感じたことがあるのではないでしょうか。看護師は様々な人とかかわっていかなければなりません。看護師や患者さんはもちろん、医師や薬剤師などの病院関係者、患者さんの家族、医療機器メーカーの担当者など、様々な方と良好な人間関係を築いていかなくてはなりません。しかし、かかわる人すべてに個性があるので、苦手と感じる方とも関わっていかなければいけませんよね。

また、看護師の仕事に従事している方の多くは女性です。女性が集まると、いじめや悪口、嫉妬など、ドロドロした人間関係になってしまうことも非常に多くなりますよね。表向きでは仲良く話しているのに裏ではお互いの悪口を言っているということや、陰湿ないじめに発展してしまうこともあるのではないでしょうか。私が最初に勤務していた病棟では、病棟師長が毎日ターゲットを決め、そのターゲットとなった人に集中的に厳しい指導を行うということがありました。私だけでなく、他の看護師も非常にストレスを感じており、同期や仲のいい先輩と集まるたびに、「もうやめたい!!」という話をしていました。

また、多くの病院では世代を問わず、様々な年齢層の看護師が在籍していますよね。そのため、世代間のギャップを感じる場面もたびたびあるのではないでしょうか。若い看護師はベテラン看護師に対して、「古い考えを押し付けられている」と感じることがあるでしょうし、ベテランの看護師は若い看護師に対して「看護師という仕事に真剣でないのではないか」などの考えが出ることもあると思います。お互いの世代のことをしっかり理解しなければ、かかわっていく中で非常にストレスを感じるのではないでしょうか。

また、患者さんとの人間関係で最近問題となっているのは、「モンスターペイシェント」と呼ばれる患者さんへの対応です。モンスターペイシェントとは、「医療機関において、理不尽な要求を繰り返す、医師や看護師に暴力をふるう、診療費を踏み倒すなどの自己中心的な行動をとる患者」のことです。

出典:デジタル大辞泉

このような患者さんは、自分勝手な要求ばかりで、こちらの話に耳を傾けてはくれません。しかし、看護師もモンスターペイシェントと同じように大声を出したりすると、解決しませんよね。そのため、看護師は患者さんの無理な要求を傾聴し、毅然とした対応を繰り返さなければなりません。

ずっと対応していると、非常にストレスが溜まってしまいますよね。

仕事への適性の問題

あなたは今勤務している職場が自分に合っていると思いますか?看護師として病院に勤務している方は大勢いますが、病院の規模や診療科、急性期か慢性期かなど、大きく異なりますよね。

特に新人看護師の場合、最初に就職する病院を選ぶときに「とりあえず急性期の病院」や「看護学生時代に実習で言った」など、自分の適性まで考えて病院を選ぶ方は少ないのではないでしょうか。実際に働いてみて、「自分には急性期より慢性期のほうが向いている」や、「手術室でなくて一般病棟のほうが良かったのでは」など、自分に本当にあっているか疑問に思う方も多いと思います。

一度疑問に思っても、「いま与えられている役割をきちんとこなそう」と前向きに考えることができているなら大丈夫です。しかし、「最初からあの病棟勤務だったら…」「急性期じゃなくて、慢性期でゆっくりと患者さんに関わりた」などの思いが強くなってしまうと、ストレスを感じながら日々の仕事を行うことになってしまいます。

市民病院や大学病院などの規模の大きい病院に就職する場合、配属されるかの希望を出すことができる場合が多いのではないでしょうか。例えば一般病棟への配属を希望したとしても、人数が多ければあなたの希望はかなわないかもしれません。もし、希望したかと違うかに配属となった場合、どのような気持ちになるでしょうか。「○○さんは希望通りの病棟なのに、私は希望していないところに配属となった」など、ネガティブな気持ちになることがあるかもしれません。

また、中には「看護師」という仕事自体に、自分は向いていないのではないだろうかと考える方もいるのではないでしょうか。看護学生の時は比較的軽症な患者さんを1人受け持つだけでした。しかし、実際に看護師としての勤務が始まると、一人で何人もの患者さんを担当することになります。また、軽症な方だけでなく、手術前後の患者さんや重症の患者さん、入退院の対応など、多くの業務を並行して行わなくてはいけません。また、検温やケアなどの業務以外にも、カルテの記入の仕方や医療行為の手順、勉強会への積極的な参加も行う必要がありますよね。毎日あわただしく過ぎていく中で、「本当に自分は看護師として働くことができるのか」「ほかの仕事のほうが向いているのではないか」という思いになることもあるかもしれません。このような思いが続くと、ストレスをためることとなってしまいます。

勤務先の将来性への問題

市民病院や大学病院などの大きな病院や、個人病院などの規模の小さい病院など、様々な規模の病院がありますが、多くの病院で経営が赤字になっています。ある調査によると、2001年から2007年までの7年間で合計210の医療機関が破たんしており、2007年の全国の医療機関の経営状況は72.4%が赤字であるということが分かりました。

出典:看護師の経営意識調査―OJT資料による介入の教育効果―1ページ目

私たち看護師には直接関係のないように思うかもしれませんが、医療関係の物品を必要以上使用しないなどの取り組みを行っている病院はたくさんありますよね。中には、人件費削減のために最低人数を下回る水準の看護師しか配置されていないことや、ごく一部の病院では給料の未払いまで生じているようです。一人に対しての仕事量は多くなり、頑張って働いても給料を受け取ることができないとなると、非常にストレスがたまりますよね。

また、看護師といえば給料が高いというイメージがありますが、経験年数が長くなるにつれて、他職種のほうが給料はアップしていきます。2012年に行われた調査によると、看護大学(4年生)を卒業した場合の初任給の基本給月額の平均は20万3,262円、平均年齢36.1歳の看護師の給与総月額の平均は35万2,157円、基本給月額の平均は25万4,583円、賞与の平均89万1,909円ということが分かりました。

出典:2012年病院勤務の看護職の賃金に関する調査報告書 8ページ目、13ページ目

一方、平成26年の大学卒の初任給平均は、男性202,900円、女性197,200円という調査結果があります。大企業も含めての平均ですので、一般的な企業の平均はもう少し低くなることが予測されますので、この時点では看護師のほうが若干多いですよね。また、勤務開始後1~3か月目くらいで夜勤も行うようになるので、給料の月額は数万円アップすると考えられます。

一方、2014年に国税庁が行った「民間給与実態統計調査」をもとに30代後半の年収状況を算出したデータによると、平均年収は425万1000円(男性502万1000円、女性292万5000円)ということが分かりました。女性は家庭と仕事の両立から非正規として勤務している方が多いと思われますので、男性より少ない年収となっています。先ほど記載した36歳前後の看護師の平均年収は約510万円となるので、この時点で他職種とほぼ同じ給料となっていることが分かると思います。しかし、他職種のこの年代の方であれば、役職に就いている方も多く収入にバラつきがみられることも予想できますよね。平均以上に年収の高い方がたくさんいるのではないでしょうか。

一般の企業であれば、実績に応じて昇進していきます。係長や主任、部長など、部署ごとに多くの役職があるため、管理職として勤務している方は一定数以上います。しかし、看護師の場合、主任・師長・看護部長などの限られた役職しかありません。そのため、一般企業の50代の平均年収は642万円と高額ですが、看護師の場合はここまで給料が上がることはほとんどありません。役職がつけば夜勤を行わないことにもなるので、病院によっては給料が下がるということもあるようです。

いくら頑張って勤務をしたとしても給料があまり上昇しないとなると、待遇面でストレスを感じることになるとになるかもしれません。

事故の不安

看護師の仕事というのは、常に患者さんの命を預かる立場にあります。医師からの指示で看護以外にも投薬や処置、急変時の対応などを行うことが多いですが、少しのミスで患者さんの健康状態に何か影響が出てしまうことがありますよね。慣れない業務を行うときはもちろん、どんなに多い回数をこなしている処置に対しても慎重になり、細心の注意を払っていたとしても、常にインシデントやアクシデントの危険性があります。このことにストレスを感じている方も多いのではないでしょうか。

医療が高度なものに日々進歩する中で、看護師に求められる医療の知識や技術も高度なものへと変化しています。医療機器もどんどん新しいタイプのものが出ており、機会に慣れるまでに時間を要します。一つの疾患に対する処置の方法も複数ある場合や、医師によって指示が異なる場合もあり、多くのことに対応できなくてはなりません。このように多くのことを求められながら仕事をしている中では、「自分もいつか事故を起こしてしまうのではないか」と考えてしまいますよね。

看護師の方ならだれでも一度はインシデントレポートを記入していると思います。このレポートを記入する目的は、①同時インシデントを起こさないため、②ほかの看護師や医療関係者と、インシデントの内容について情報共有を行うため、③今後、院内での安全対策に使用するため、などがあげられます。しかし、自分が何かインシデントを起こした場合、まずは病棟師長や医師に報告し、必要があれば患者さんに処置が行われます。自分がインシデントを起こしてショックを受けている中、病棟師長や医師、患者さんなどから責められることも多いと思いですよね。自分が悪いということは理解しているのですが、責められるとストレスを感じませんか?

インシデントで済めばいいのですが、大きなミスをすると医療事故を起こすことにもつながってしまいます。テレビを見ていても、看護師が人工呼吸器の電源を入れ忘れた事故やトイレ誘導をしたまま忘れてほかの業務を行い、このことが原因となって患者さんが死亡した事故、モニターのアラームが30分以上鳴動していたが気付かず、患者さんが心停止を起こして死亡した事故などが報道されていますが、私たちも気を付けなければ起こす可能性のある事故ばかりです。普段から薬の確認などはダブルチェックやトリプルチェックを行いますが、それでもミスに気付くことができないということもありますよね。医療事故を起こしてしまうと看護師免許を失い、禁固刑や罰金刑を課せられることもあります。患者さんだけでなく、自分や自分の家族にまで影響を及ぼすので、医療事故は絶対に防がなければなりません。

インシデントやアクシデントを起こさないように細心の注意を払いながら仕事を行うことは、非常にストレスが溜まってしまいますよね。

まとめ

看護師がストレスを受ける場面は、紹介した以外にもたくさんあります。毎日の業務でストレスを感じているとは思いますが、ストレスをためたままであると顔に出てしまいますし、精神的にも疲労してしまう原因となってしまいます。休みの日などに自分の好きなことをしてストレスを発散しておくようにしましょう。

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