夜勤専従看護師の働き方とメリットとデメリット

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看護師として病院で常勤として勤務している場合、日勤と夜勤を行う必要があります。なかなか生活リズムが整わないため、日勤と夜勤を行うことは負担になります。しかし、夜勤をしなければ給料が大幅に減ってしまうため、夜勤を辞めるわけにはいかないという方もいるのではないでしょうか。

全ての病院で導入されているわけではありませんが、「夜勤専従看護師」という働き方を選択する看護師もいることをご存知でしょうか。皆さんが勤務している病院にも、夜勤専従として働いている看護師がるかもしれません。しかし、夜勤専従看護師がどのような働き方なのか知らない方も多いのではないでしょうか。

夜勤専従看護師の働き方やメリット、デメリットなどについてみていきましょう。

夜勤専従看護師とは

まず、夜勤専従看護師がどのような働き方なのか見ていきましょう。入院患者さんのいる病院の場合、看護師は交代制で夜勤を行う必要があります。常勤で働く看護師の場合、日勤を行いながら夜勤を行いますが、夜勤を行う時間は「72時間以内」というルールがあるのです。そのため、2交代制勤務の場合は1か月あたりの夜勤回数は4回以内、3交代制勤務の場合は1か月あたりの夜勤回数を9回以内にしなければなりません。行うことのできる夜勤回数が制限されているため、収入を大きく増やすことは非常に難しいですよね。

しかし、夜勤専従看護師となると、この夜勤の「72時間ルール」が適用されなくなります。常勤であれば、規定されている休みの回数などを守れば、何度でも夜勤をすることが可能となるのです。

2014年に日本看護協会が行った調査によると、夜勤専従看護師が「いる」と回答した人は全体の38.7%で、2013年度の調査(37.3%)よりもわずかに増加しているということが分かりました。

出典:「病院で働く看護職の賃金のあり方」の提案 11ページ目

このデータによると、病床数や経営母体の種類にかかわらず、夜勤専従看護師が採用されているということが分かります。また、株式会社ケアレビューが2009年に行った調査によると、夜勤専従勤務(正職員のまま夜勤だけの勤務を選択できる制度)を今現在または将来的に利用したいと回答した人は、回答者数500名のうち24.4%でした(複数回答あり)。

出典:女性看護師が求める人事制度やサービスに関する意識調査 2ページ目

夜勤専従という働き方が、今後はもっと一般的になるかもしれませんね。

夜勤専従看護師が開始となった背景

昔は夜勤専従という働き方はパートやアルバイトが一般的でした。最近では常勤でも夜勤専従という働き方ができるようになってきましたが、なぜ夜勤専従という働き方が定着するようになったのでしょうか。

まず、夜勤の72時間ルールを守らなければならいということを上げることができます。平成4年に診療報酬の中で「夜間看護等加算」が創設されました。その際、「3交替勤務・2院体制・月平均夜勤回数8回以内」「3交代勤務・3人体制・月平均夜勤回数9回以内」「2交代勤務・12時間夜勤・月平均夜勤回数6回以内」「2交代勤務・12時間勤務・月平均金回数6回以内」という決まりが設けられました。この決まりを守ることで、診療報酬の夜間看護を加算することができるというものです。平成6年に「夜間勤務等看護加算」という名称に変更され、新たに「4人以上9回以内夜勤」以内の評価に変更されました。しかし、平成18年に廃止され、看護師の勤務条件が入院基本料の通算に含まれるようになりました。「20:1看護」以上であれば、月平均夜勤時間数を72時間以下にしなければ、診療報酬が減額となってしまうのです。

出典:入院基本料の算定要件について 5ページ目

この条件を守るために看護師の人数を確保するとなると、人件費が高額になってしまいます。しかし、条件を守らなければ診療報酬が減額となります。夜勤専従看護師は、この「72時間ルール」の適応外となるため、病院にとってはありがたい働き方といえます。

また、最近は結婚や出産をしても看護師として働くことを希望する方が増加しています。しかし、ライフスタイルの変化に伴って夜勤をすることが難しくなる看護師も多いです。看護師の人数が充分いても、夜勤を行うことのできる看護師が減ってしまうと、先ほど説明した入院基本料を満たすことができなくなってしまいます。不足した夜勤を行うことのできる看護師を補うためにも、夜勤専従看護師は必要不可欠な存在となっているのではないでしょうか。

また、最近は夜勤専従として働くことを希望する看護師も増加してきています。病院側の希望する働き方と看護師が希望する働き方があっているため、夜勤専従という働き方が定着してきたと考えることもできますね。

夜勤専従として働くメリット

夜勤専従として働く際のメリットについてみていきましょう。

給料を増やすことができる

最も大きなメリットとしてあげることができるのは「給料を増やすことができる」ということです。通常、夜勤をすれば夜勤手当が支給されますよね。2013年に行われた調査によると、「3交代制準夜勤」の手当額の平均は3,812円、「3交代制深夜勤」の手当額の平均は4,635円、「2交代制夜勤」の手当額の平均は10,119円ということが分かりました。

出典:2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査 報告書 87ページ目

月給は基本給に加えて夜勤を行った回数分の夜勤手当が支払われていると思います。通常の日勤と夜勤を行う業務と、夜勤専従看護師の給料を比較してみましょう。基本給が20万円だったとします。2交代制勤務で日勤も夜勤も行っている場合、20万円+夜勤4回×10,119円となりますので、給料は240,476円+諸手当となります。一方、夜勤専従として2交代制勤務の病棟で勤務をした場合、20万円+夜勤10回×10,119円となりますので、給料は301,190円+諸手当となるのです。給料に大きな差がついているということが分かりますよね。

また、夜勤専従者がいる病院における夜勤専従者に対する特別な手当があると回答した病院は16.5%あります。

出典:2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査 報告書 20ページ目

病院によってはさらに収入を増やすことができるかもしれません。

夜勤専従のパートとして勤務を行う場合、通常の夜勤手当よりも大きな金額を手当てとして受け取ることのできる病院もあります。私が以前勤務していた病院は、常勤の夜勤手当が15,000円でしたが、夜勤専従のパートの夜勤手当は30,000円となっていました。病院によっては、夜勤専従を行うことで多くの給料を受け取ることができます。そのため、普段は常勤看護師として勤務を行いながら、月に2~3回夜勤専従として違う病院で勤務をしているという看護師もいます。

給料を大きく増やすことができるということは非常に大きなメリットですよね。

勤務と勤務の間の時間を長くとることができる

2交替や3交代などの交代制勤務で働いている場合、なかなか自分の時間を確保することが難しいのではないでしょうか。特に、3交代制勤務を行っている場合は、日勤が終了しても

満足に休むことができずに、そのまま深夜勤を行うということもありますよね。2015年6月に行われた調査によると、最も短い勤務間隔(勤務から次の勤務の間隔)は、「8時間未満」53.2%、「12時間未満」16.0%、「16時間未満」24.9%であるということが分かりました。

出典:2015年度 夜勤実態調査 12ページ目

勤務間隔が8時間と非常に短ければ、自分の時間を有効に使うことは困難ですよね。体の疲れを十分にとることができないまま、出勤となるのではないでしょうか。疲れを十分にとることができなければヒヤリハットやインシデントを起こす原因となることもありますし、体調にも影響を及ぼすかもしれません。

夜勤専従看護師の場合、日中は仕事を行うことがありません。夜勤明けで同じ日に夜勤入りをすることもありませんので、勤務間隔は24時間以上確保されています。24時間以上あれば十分に疲れをとることができますし、自分の時間を過ごすこともできるのではないでしょうか。

勤務間隔が十分に確保されているということも、夜勤専従として勤務する際のメリットとなりますね。

生活リズムが一定になる

交代制勤務を行っていると、なかなか生活リズムを一定に保つことは難しいですよね。1か月に4回夜勤を行う場合、毎週1回は夜勤を行う必要があります。日中起きて夜は休むという生活を5日間行い、夜起きて日中休むという生活を2日連続で毎週行わなければなりません。そのため、生活リズムを保つことができずに体調を崩す場合があると思います。

夜勤専従看護師の場合、勤務するのは夜だけです。そのため、基本的に日中は自分の時間を確保することができますので、生活リズムを整えやすいということができます。私が以前勤務していた夜勤専従の看護師に聞いたところ、「日勤も夜勤も行うよりも、夜勤だけをしているほうが体がラク」と言っていました。

日勤業務だけを行っていると生活リズムを整えやすいように、夜勤業務だけを行っても生活リズムを整えやすいようです。交代制勤務を行っていると生活リズムを崩しやすいので、生活リズムが一定になるということは大きなメリットと感じませんか?

夜勤専従として働くデメリット

夜勤専従として働く際に大きなメリットがありますが、反対にデメリットもありますので、いくつか紹介します。

昼夜逆転となる

当然ですが、夜勤専従として勤務する際は夜間に働くこととなります。夜勤前や夜勤明けは寝て過ごすことが多いため、日中は寝て夜間に活動する機会が増えてしまいますよね。そのため、昼夜逆転となる可能性が非常に高くなってしまうのです。

人間は夜行性ではありませんので、日中に寝て夜間に活動するという生活が長く続くと、体調を崩す原因となることが考えられます。いくら日中にしっかり休むことができたとしても、夜間に休むほうが疲れは取れやすいということが研究で分かっているため、疲労が蓄積しやすいかもしれません。

夜勤専従として長期間勤務することは、体力的にも健康的にもよくないことが考えられます。夜勤専従として働く場合は、期間を限定してはいかがでしょうか。

ケアを行う機会が減少する

患者さんが起きている時間は日中ですので、全身清拭やシャワー介助、洗髪などの日常生活に欠かすことのできないケアは日中に行われます。そのため、日勤看護師は毎日たくさんのケアを行う機会があるのではないでしょうか。

しかし、夜勤帯ではこれらのケアを行う場面はほとんどありません。食後の口腔ケアや、病衣が汚染した場合の更衣や、失禁等がみられた場合の部分清拭くらいしか行うことがないのではないでしょうか。そのため、夜勤専従として勤務をしていると、ケアをする機会がなくなってしまうのです。

また、急変が生じた場合や緊急入院があった場合などを除いては、採血や点滴のルート確保、膀胱留置カテーテルの挿入、IVH挿入の介助などの医療行為を行う機会も減ってしまいます。医療行為を行う期間が長期間となってしまうと、日常生活のケア以上にスキルが落ちてしまう可能性が高くなってしまうのではないでしょうか。

スキルが落ちてしまうと、日勤としての仕事を再開するときや転職を行う際に不利となってしまうこともあるので、デメリットに感じますよね。

幅広い知識や経験が必要

2013年に行われた調査によると、3交代制勤務の場合、準夜勤を行う看護師の平均人数は3.10人、深夜勤を行う看護師の平均人数は2.94人、2交代制勤務を行う場合の平均夜勤看護師数は2.91人ということが分かりました。

出典:看護職員の労働実態調査「報告書」 72ページ目

同じ調査の日勤平均看護師数は9.78人ですので、夜勤の看護師数は少ないといえます。ケアを行うことや処置の介助を行うことなどがないため、一般病棟の場合は日勤看護師より夜勤看護師のほうが少ない人数が設定されています。そのため、夜勤を行う方が看護師一人当たりの担当する患者数は多くなりますよね。

少ない看護師で多くの患者さんを対応しますので、看護師一人にかかる責任は大きくなります。急変が生じた場合、日勤帯であれば複数の看護師で対応を行うことができますが、夜勤帯であれば自分一人で対応しなければならないことも多いです。そのため、幅広い知識や経験が必要となるのではないでしょうか。当然ですが、新人看護師や経験の浅い看護師が急変などの対応を行うことは困難であるため、夜勤専従看護師となることは難しいです。

夜勤専従看護師になることを目指すのであれば、看護師としての経験を積んで、自分一人である程度の判断ができるようになってからにしましょう。

まとめ

夜勤専従看護師の概要や、メリット・デメリットについて紹介しました。求人は少ないですが、魅力的なメリットがたくさんあります。夜勤専従看護師として勤務したいと考えている方は、知識や技術を身に着けながら、看護師の転職サイトなどで探すようにしましょう。

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