看護師の役割とは?病院の中や患者さんとの関わり方

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病院で患者さんに対して医療を提供する際、看護師は重要な役割を担っています。しかし、「看護師の役割は?」と聞かれても、具体的な回答が思い浮かばないという方も多いかもしれません。

看護師の仕事は、保健師助産師看護師法で「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦(褥婦)に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう」と定義されています。

出典:保健師助産師看護師法 第一章 第五条

漠然としていますよね。看護師の役割は常に一定ではなく、医師・看護師間や患者さん・看護師間など、かかわる対象によって役割が変化しているといえます。では、看護師の役割にはどのようなものがあるのか、他の医療従事者の役割にはどのようなものがあるのかなどについてみていきましょう。

【医療従事者としての看護師の役割】

まず、医師や栄養士、薬剤師などの医療関係者とかかわる際の「医療スタッフとしての看護師の役割」について、いくつか見ていきましょう。

情報提供者

まず、医療スタッフとしての看護師の役割の中で最も大切なことは、他の医療スタッフに対して患者さんの情報を提供する、「情報提供者」ではないでしょうか。看護師は、患者さんが来院した際や入院した際、患者さん本人や家族から直接情報収集を行うことができます。医師も診察を行った際などに情報収集を行うことができますが、時間は短いですし、他の患者さんのこともあるので時間をかけてゆっくり話を聞くことはできません。しかし、看護師はある程度の時間を割いて情報収集を行うことが可能です。

また、看護師は患者さんが入院生活や療養生活を送る際、最も身近な存在となります。毎日顔を合わし、世間話などを通して会話を行うことで、他の医療関係者より短時間で信頼関係を築くことができるのではないでしょうか。そして、毎日の何気ない会話の中で、入院生活や退院に向けて大切な情報を聞くことがあるかもしれません。

看護師は、患者さんとの毎日のかかわりの中で得た情報を、どんなに些細なことでもほかの医療関係者に伝えることで、患者さんにとってより良い入院生活や療養生活につながるのではないでしょうか。

医師の補助

保健師助産師看護師法にも定められているように、看護師は医師が患者さんに診療を行う際に補助を行う役割があります。例えば手術後のガーゼ交換を行う際は、看護師が事前に必要物品を準備し患者さんの体位を整え、医師とともに術後の創部の状態を観察し、患者さんの体位等をもとの状態に整え使用物品を片付ける、ということをする必要があります。

使用する物品が少ない処置や、簡単に行うことのできる処置の場合は、医師が一人で行うこともあるかもしれません。しかし、看護師が医師の補助を行うことにより、医師だけでなく看護師も患者さんの状態を把握することができます。

中心静脈カテーテルの挿入や腹水穿刺などの病棟で行うことのできる手順の多い処置や手術の介助など、医師一人では行うことのできないこともたくさんあります。また、膀胱留置カテーテルの挿入や持続点滴を行う際の留置針の挿入など、普段当たり前のように行っている看護師にもできる医療行為を医師の指示で行うことも、医師の補助を行っていることにつながるのではないでしょうか。

ほかの医療従事者との連携を図る

看護師は、他の医療スタッフとの連携を図る際にも重要な役割を担っています。例えば患者さんが退院する際、多くのスタッフが一人の患者さんに対してかかわる必要があります。リハビリスタッフは患者さんの退院してからの生活を見据えて生活に支障がないように訓練をしますし、食事に指導が必要な場合は栄養士が介入します。また、院内のスタッフだけではなく、退院後にかかわっていく訪問看護師やケアマネージャーなどのスタッフとも連携を取りながら、患者さんが安心して退院することができるようサポートすることも必要です。

また、同じ仕事のスタッフとは連携を取りやすいですが、他職種間では連携を取りづらいということもあります。看護師は様々な職種間でうまく連携をとることができるようカンファレンスの時に調整を行うことや、訪問看護師やケアマネージャーなどの退院後に患者さんにかかわる院外のスタッフとも連携を図ることが大切です。

看護師だけ、栄養士だけのように、ひとつの職種だけで患者さんとのかかわりを持つと、患者さんの状態を一点からしか見ることができません。しかし、他の職種の医療スタッフとも連携を図ることで、患者さんの状態を多角的にとらえることができ、患者さんにとってより良い治療環境を整えることにもつながります。

【患者さんとのかかわりの中の看護師の役割】

医療スタッフとしての看護師の役割以外にも、患者さんとのかかわりの中の看護師の役割

というものもあります。どのようなものがあるのか見ていきましょう。

患者さんが自分の気持ちを伝えることのできる存在

入院している患者さんや外来通院をしている患者さんにとって、看護師は医療関係者の中で最も身近な存在ということができるのではないでしょうか。特に入院している患者さんの場合、バイタルサイン測定や清拭などのケア、検査に行くさいの搬送など、看護師と関わる時間はたくさんあります。一つ一つは短い時間かもしれませんが、そのかかわりの中で患者さんは、看護師との信頼関係を築いていくことができるのではないでしょうか。

また、医師は一人で大勢の患者さんを担当しながら外来や手術を行っているため、自分の治療や症状に関する疑問があっても患者さんから医師に相談する時間はあまりありません。中には、医師と話す際は緊張してしまい、自分の思いを伝えることができないという患者さんもいます。しかし、看護師とは毎日のかかわりの中で信頼関係を築くことができやすいだけでなく、看護師とは緊張せずに話すことができるため自分の思いを伝えやすいという患者さんがいます。そのため、医師には言いづらい自分の思いを、看護師には素直に伝えることができるのではないでしょうか。看護師は患者さんの素直な気持ちや考えを受け止め、他職種にも情報提供を行い、患者がより良い入院生活を送ることができるよう支援していくことも大切です。

つねに状態を観察する

入院患者さんの場合、主治医は常に患者さんの状態を気にはかけていますが、医師一人で大勢の患者さんを担当しているため、常に患者さんの状態を観察することはできません。また、担当のリハビリのスタッフや栄養士などの他職種も、常に患者さんの状態を観察することはできませんよね。しかし、看護師は2交代制勤務や3交代制勤務を行いながら、24時間を通して患者さんのことを観察することができます。

どんなに状態が安定している患者さんであったとしても、症状は常に変化します。そのため、モニタリングまでは必要としない場合でも、すべての患者さんを気にかける必要があるのです。常に状態を観察し患者さんとコミュニケーションをとることで、患者さんの異常の早期発見を行うことができ、医師やほかの医療関係者と連携して、患者さんの状態の変化に応じた入院生活を提供することが可能となります。

患者さんの理解を深める

治療方針や現在の病状、今後の方向性など、病院では非常にたくさんのことを医師から説明されます。連携パスや説明書を見ながら説明を受けたとしても、急な場合だと心の準備が整っていないことが多く、自分に行われる治療などについて十分に理解をすることができません。また、患者さん本人の状態が安定していない場合、患者さん本人ではなく患者さんの家族に説明がされる場合もあります。そのため、患者さん自身には何も説明のないまま、治療が開始となっているということもあるかもしれません。

看護師は、患者さんが自分の状態や治療内容、今後の方向性などについてどのくらい理解できているのかを確認する必要があります。医師からの説明を受ける際、患者さんは疑問があったとしても、「医師は忙しいから質問はやめておこう」と考える場面が多々あります。そのまま疑問を解消することができないまま、治療や退院につて進めてしまうと、「自分は今、どのような状況なのか」と不安につながることもあるのです。看護師は説明を受けた患者さんに、「先生の説明、どうでしたか?」などの声掛けを行い、患者さんの理解度の確認を売ることが大切です。必要があれば患者さんにとって分かりやすく噛み砕いて説明を行い、患者さんの理解度を高めるように支援することが重要となります。

指導

看護師は患者さんに指導を行う役割もあります。患者さんは治療上の注意点や、疾患を抱えながら生活を行うための注意点など、多くのことを入院中に学んでいかなければなりません。治療の必要性や疾患の概要などは医師から説明を受けることとなります。しかし、医師は一人の患者さんとかかわる時間が限られているため、患者さん一人一人に対して注意点や詳細を説明することは難しいです。

そのため、医師に代わって看護師が患者さん一人一人に治療上の注意点や、疾患を抱えながら生活をするための注意点などを行う必要があります。皆さんも患者さんに対して指導を行った経験はありませんか?よく看護師が患者さんに対して行う指導として、血糖測定やインスリンの自己注射、経管栄養の管理、人工肛門の管理などがあります。外来では禁煙指導などを行う場面もあるかもしれません。

また、患者さんだけでなく、在宅で患者さんの看護・介護を行う患者さんの家族に対しても指導を行う必要があります。おむつ交換や体位変換などの日常生活を送るうえで欠かすことのできないケアや、吸引などの処置について、患者さんが在宅で生活する際に必要な項目について指導を行わなければなりません。病院に指導用のパンフレットがありますが、患者さんの個別性に沿って指導を行うために、看護師が自らパンフレットを作成することもあります。

【ほかの医療従事者の役割】

病院で働く医療関係者は、他にもたくさんいます。それぞれの職種がどのような役割を持っているのか簡単に解説します。

医師の役割

患者さんの状態を診察や検査などによって診断し、適切な治療が行われるように医療を提供することが最も大きな役割と言えるのではないでしょうか。看護師や薬剤師、リハビリスタッフなどの医師以外の医療スタッフは、自らの判断で行動を起こすことができず、ほとんどの場面で医師の指示が必要となります。そのため、その場面によって適切な指示を出し、円滑に治療や看護、リハビリが提供できるようにしなくてはなりません。

薬剤師の役割

薬剤師の主な役割は、患者さんが処方通りに薬を使用することができるよう支援することです。そのために、処方されている薬の詳細を説明することや正しく使用するための服薬指導を行うとともに、薬に関しての医師の負担を軽減する役割も求められています。

栄養士の役割

栄養士の主な役割は、食に関するプロとして一人一人の健康状態や栄養状態を確認し、その人にあった食事を提供することや食事の摂取方法などについてアドバイスを行うことです。口からとる食事だけでなく、経管栄養に関してアドバイスを行うこともあります。

口からの食事に関してもカロリーや栄養だけを見るのではなく、その人に最も適している食事の形態で食事を提供することも大切な役割です。

理学療法士の役割

理学療法士は患者さんの運動機能を把握し、運動やマッサージ、電気刺激を利用して、基本的な運動能力を回復・維持するための支援を行うことが主な役割です。時には看護師などの普段患者さんとかかわる時間の多い医療従事者にリハビリの内容を指導し、リハビリの時以外も継続してリハビリを行うことができるような環境作りも行います。

作業療法士の役割

作業療法士は患者さんが日常生活をスムーズに送ることができるようになるために、リハビリを提供することが主な役割です。理学療法士は歩く、座るなどの基本的な動作能力を回復・維持することを目的としてリハビリを行いますが、作業療法士は日常生活に必要な動作を円滑に行うことができるように支援することが目的です。家事や趣味などの毎日行う可能性のある動作を取り入れながら、患者さんに適したリハビリメニューを行います。

言語聴覚士の役割

言語用各紙は患者さんの「言語」と主にかかわり、患者さんの言語の回復・維持を目的とする役割です。言語だけでなく、ものを口から摂取する「食事」に関することや、コミュニケーションをとることのサポートなども重要な役割となっています。運動機能や疾患に関する知識も必要ですが、口腔内の機能について深い知識が必要となります。

【まとめ】

看護師やその他の医療関係者の役割について紹介しました。普段仕事をしているときに、自分の役割を考えることはあまりないかもしれません。自分に与えられた役割や、患者さんに必要とされている役割について考えながら、毎日の仕事を行ってみてはいかがでしょうか。

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