看護師の離職率と退職を考えたときにしなければならないこと

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看護師として活躍されている方は多いと思いますが、「看護師をやめたい」と考えたことのある方も多いのではないでしょうか。また、旦那さんの転勤や引っ越し、結婚や出産などのライフスタイルの変化に伴って、看護師をやめざるを得ない状況になった方も多いと思います。

しかし、看護師の離職率は非常に高いといわれています。なぜ看護師は離職率が高くなってしまうのでしょうか。また、離職するきっかけや、離職を考えるきっかけにはどのようなものがあるのか、退職を上司に伝える際の注意点などについて見ていきましょう。

看護師の離職率

まず、看護師の離職率についてみていきましょう。日本看護協会が2012年に行った調査によると、2011年度の看護職員離職率は、常勤10.9%、新卒7.5%であるということが分かりました。

※離職率の計算方法は、

常勤看護職員の離職率:当該年度の総退職者数/当該年度の平均職員数×100
新卒看護師の離職率:当該年度の新卒退職者数/当該年度の新卒採用者数×100
常勤看護職員離職率には、新卒者の離職も含まれる。
離職には定年退職、転職を含む

となっています。

出典:「2012年 病院における看護職員需給状況調査」速報 1ページ目

とても高い割合だと思いませんか?毎年病棟の看護師2~3人程度は離職しているということではないでしょうか。皆さんの病院は、毎年何名の看護師が離職していますか?「1年間で誰も離職しなかった」という病院や施設はほとんどないと思います。

平成24年度に厚生労働省が行った調査によると、正看護師と准看護師の就業者数は約145万人ということが分かりました。

出典:看護職員の現状と推移 5ページ目

また、平成25年2月に行われた看護師国家試験の合格者数は約5万人となっています。

出典:看護職員の現状と推移 17ページ目

看護師の人数と、先ほど記載した離職率を合わせてみてみましょう。看護師全体の人数は約145万人であるのに対し、離職率は10.9%です。計算すると、毎年約158,000人の看護師が離職しているということになります。また、新卒看護師の場合、新卒看護師の人数が約50,000人であるのに対し、離職率は7.5%です。計算すると、毎年3750人の新卒看護師が離職しているという計算になります。

では、看護師の離職率と、全国の14,855の事業所を対象に調査した離職率を比較してみましょう。平成27年度に厚生労働省が行った調査によると、全雇用者(パート勤務を除く)36,120,2000人いるのに対し、離職者(パート勤務を除く)の人数は4,277,3000人いるということが分かりました。

出典:厚生労働省 -平成27年雇用動向調査結果の概況- 7ページ目

この調査結果から計算すると、この年の全国の14,855の事業所の離職率の平均は約12%ということが分かります。看護師の離職率は全国の事業所と比較すると少ないかもしれませんが、比較的高いと考えることができるのではないでしょうか。では、なぜ看護師の離職率が高いのか見ていきましょう。

看護師の離職率が高い理由

看護師の離職率が高い理由として考えられるものを紹介します。参考にしてくださいね。

求められる能力の高さ

新人看護師が離職を考える理由としてまず挙げることができるものとして、「求められる能力の高さ」というものがあります。看護師になるためには看護専門学校や看護大学などの、看護の専門教育を受けることのできる教育機関を卒業しなければなりません。どの学校でも看護師に必要な知識や技術を学びますよね。また、実習を何度も経験することで実際の患者さんに寄り添った看護を展開できる知識や技術を身に着けることもできます。学校生活はとても大変ですが、これらの学校生活を終えて国家試験に合格すると、大変さ以上に喜びを実感できることだと思います。

しかし、看護師として現場で働くようになると、学生時代に学んだことだけでは患者さんに十分な看護を行うことができません。学生時代に学習する内容は、看護師として活躍するために必要な知識や技術のほんの一部にしかすぎませんので、看護師になってからも自己学習や勉強会に参加することで、多くの知識や技術を習得しなければならないのです。

しかし、看護師として勤務する以上、少しのミスも許されません。また、患者さんにとっては看護師が新人かベテランかは関係ありませんので、全スタッフが同じ知識や技術を持っておかなければなりません。そのため、新人看護師に求められる知識や技術などの看護師としての能力は高いものとなってしまうのです。

厚生労働省が2004年に発表したデータによると、新人看護職員の離職理由の中で「基礎教育終了時点の能力と現場で求める能力とのギャップが大きい」と回答した人が76.2%で最も多い退職理由ということが分かりました。

出典:新人看護職員研修の現状について 7ページ目

現在看護学生の方や将来看護師になりたいと考えている方は、先輩看護師から多くのことを求められると思いますが、自分のできる範囲で精いっぱい取り組むようにすれば大丈夫です。無理しすぎないようにしましょう。先輩看護師は新人看護師を迎える際、多くのことを求めないように注意してくださいね。

人間関係の複雑さ

看護師は非常に多くの方とかかわる必要があります。看護を行う際に患者さんとかかわることや同僚の看護師と関わることはもちろん、医師や薬剤師、栄養士などの他職種の医療関係者や患者さんの家族とも関わっていかなければなりません。多くの方と良好な人間関係を築くことだけでもストレスを感じると思います。しかし、新人看護師の場合は医師や先輩看護師から冷たい対応をされることがあると思いますし、先輩看護師は上司と新人看護師の間に挟まれてしまうこともあるのです。このような状況が毎日続くと、「もう看護師をやめてしまいたい」という気持ちになってしまいますよね。

また、患者さんや患者さんの家族と良好な人間関係を築くことも非常に難しいです。多くの患者さんは、病院内の規則を守り、患者さん自身やほかの患者さんの治療や療養生活がスムーズに送ることができるように協力してくださいます。しかし、中には自分のことしか考えない患者さんや看護師に暴言・暴力を行う患者さんなどの、いわゆる「モンスターペイシェント」と呼ばれる患者さんの看護を行うことがあるのです。また、患者さんだけでなく、患者さんの家族も同じような行動をとる場合があります。

他の患者さんの元へ早くいきたいのに、このような患者さんの相手をしなければならないこともあり、非常にストレスを感じることとなるのではないでしょうか。人間関係の複雑さや、人間関係からのストレスが原因で、「看護師をやめたい」と考えるようになるかもしれません。

責任の重さ

どのような仕事を行う際も、責任をもって取り組まなければなりません。難しい仕事をするときは、非常に緊張してしまいますよね。看護師が看護を行う対象は、身体や精神などのどこかに病気やけがを持っている方です。仕事を行う対象がものではなくて人間ですので、常に細心の注意を払って、看護を提供していかなければなりません。患者さんとかかわって行う仕事以外にもたくさんの仕事がありますが、カルテの記入や点滴の作成、入院・退院の準備など、少しのミスも許されないことばかりです。

採血などの医療行為や薬の投与などの医療行為を行う場合、少しのミスや間違いでも患者さんに迷惑が掛かって今います。また、人工呼吸器や輸液ポンプ、モニターなどの医療機器の操作や管理も看護師が行う必要がありますよね。設定を少しでも間違ってしまうと、患者さんに適切な医療が提供できないことにもつながってしまいます。

平成22年に厚生労働省が行った調査によると、看護職員として退職経験がある人の退職理由の中で「責任の重さ。医療事故への不安があるため」と回答した方は、全体の10%近くいるということが分かりました。

出典:看護職員の現状と推移 19ページ目

看護師の仕事は非常にやりがいがあると思いますが、同時に責任の重さも感じることとなります。責任の重さについてストレスを感じている方は、休みの日はリフレッシュするようにしましょう。

仕事の大変さと給料が比例していない

看護師の仕事は、一般的に給料が高いといわれています。2013年に日本看護協会が大なった調査によると、フルタイム勤務の正規職員の看護師について、平成24年分(2012年1月~12月)の年収額の平均は、非管理職519万2,417円(平均年齢35.0歳)、中間管理職648万3,444円ということが分かりました。

出典:2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査 報告書 10ページ目

では、平成27年度に国税庁が発表した平成27年12月31日現在の源泉徴収義務者(民間の事業所に限る)に勤務している給与所得者(所得税の納税の有無を問わない)を対象とした調査結果を見てみましょう。給与所得者数は4,794万人(男性2,831万人、女性1,963万人)の年間の平均給与は420万円であり、男性521万円、女性276万円、正規雇用者485万円ということが分かりました。

出典:国税庁 平成27年分民間給与実態統計調査結果について

民間企業と比較しても、看護師の給料は比較的高いと感じると思います。しかし、看護師の年収は、夜勤手当や残業代などの手当を含んだ金額です。これらの手当がなければ、給料は非常に少ないですよね。また、看護師の仕事は先ほども紹介しましたが、非常に責任が重いです。少しのミスでさえ、患者さんに影響が出てしまうことがあるので、常に気を抜かずに仕事を行わなければなりません。これらのことを考えると、仕事の大変さや責任感の重さと給料の額が比例していないと感じるのではないでしょうか。給料面が不満だと、仕事をやめたいと考えるきっかけになりますよね。

仕事をやめたいと思ったときに考えなければならないこと

多くの方が仕事をやめたいと考えたことがあると思いますし、実際に退職したという方もいると思います。仕事をやめたいと感じているとき、実際に退職という行動をとる前に考えたほうがいいことを紹介します。

現在の職場をやめたいのか、それとも看護師自体をやめたいのか

まず、仕事をやめたいと思ったときは「現在の職場をやめたいのか」、それとも「看護師自体をやめたいのか」ということを考えるようにしましょう。人間関係や責任の重さなど、何か原因があって退職を考えると思います。その原因自体を解消すれば看護師として勤務を続けることができるのであれば「現在の職場をやめたい」ということですし、その原因を解消できたとしても看護師として勤務を続けることができないと感じるのであれば「看護師自体をやめたい」ということになりますよね。

このことを考えた際に「看護師自体をやめたい」という結論が出たのであれば、無理して看護師の仕事を続けなくていいと思います。ほかにあなたに向いている仕事が見つかるかもしれません。「現在の職場をやめたい」という結論が出たのであれば、新たな職場を探すようにしましょう。

自分が希望する職場の条件を決める

あなたが現在勤務している職場に勤務しようと考えた理由は何ですか?「看護学生時代に実習に行ったから」や「病院の雰囲気がよさそうだから」などの漠然とした理由で就職した方が多いのではないでしょうか。

転職を行う際、再度漠然とした理由だけで就職先を決めてしまうと、再び同じ失敗をすることになるかもしれません。そのため、「妥協できる条件」と「妥協できない条件」をしっかり決めておくようにしましょう。

また、妥協できない条件がいくつかある場合は、優先順位を付けるようにしてください。転職先を探す際、いくつか転職先の候補が出ると思います。それらの施設を比較するときに、あなたの考えた優先順位を満たすことのできる施設を選択するようにすれば、あなたの理想に近い勤務先を選ぶことができるのではないでしょうか。

ポジティブな退職理由を考える

看護師が退職を考える理由は、多くの場合が「人間関係に疲れた」や「給料が少ない」などの“ネガティブな理由”ですよね。しかし、このネガティブな理由をそのまま上司に伝えると、「あなたが働きやすくなるように工夫するから」など言われ、退職を引き止められてしまう可能性が高くなってしまいます。また、ネガティブな退職理由で退職が決定したとしても、同僚との人間関係が気まずいものとなってしまう可能性もあるのです。

「自分のスキルアップのため」や「自分がやりたい看護をすることのできる職場に行きたい」などの“ポジティブな理由”を伝えると、ネガティブな理由と比較して退職しやすくなります。ばれない程度のウソであれば問題ありませんので、ポジティブな退職理由を探してから退職の話を上司にするようにしましょう。

まとめ

看護師の離職率は民間の企業と比較しても高いといえます。人間関係のトラブルや仕事に対するストレスなど、看護師ならではの理由で退職をする方が多いのではないでしょうか。退職後にほかの施設で再度看護師として働こうと考えている場合、自分の理想に少しでも近い職場を選ぶことができるよう、しっかりリサーチを行うようにしてくださいね。

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