看護師の新人教育をするときに気をつけるべきポイント

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毎年、4月になったら大勢の新人看護師が入職してくるのではないでしょうか。皆さんの中にも、新人看護師の教育係である「プリセプター」を経験したことがある方もいるかもしれません。また、プリセプターでなくても指導する機会は多く、2年目から新人に対する指導を任されることもあると思います。

多くの看護師が経験したことのある新人教育ですが、悩むことはありませんか?どのように声をかければいいかわからないことや、何から教えればいいのかわからないなど、わからないことはたくさんあると思います。

最近の新人教育の内容や多くの看護師が新人教育の時に悩むこと、指導方法などを紹介します。新人看護師へ指導するときの参考にしてくださいね。

新人看護師の特徴

皆さんにも新人看護師時代があったと思います。中には「昔すぎて覚えていない」という方もいるかもしれません。新人看護師への教育のポイントを見る前に、まずは「新人の特徴」についてみていきましょう。特徴が分かれば、どのような教育を行うべきかが見えてくるのではないでしょうか。最近の新人社会人全体の特徴を箇条書きで紹介しますので、どのような特徴があるのか参考にしてくださいね。

分からないところが分からない

→自分が分からないことを質問するためには、その事柄に対してわかっている必要があります。「分からないことは無い?」と質問しても、しっかり理解できていない場合は質問をすることさえできません。

メンタルが弱い

最近は学校でも職場でも、昔と比べて丁寧に優しく指導することが多くなっており、他者から怒られることに慣れていません。そのため、少しでもきつい口調で指導を行うと、直ぐにへこんでしまい離職につながる可能性があります。

指示待ち人間が多い

「自ら動く」ということをせずに、相手からの指示が出るまで動くことは無いという方が少なからずいます。しかし、指示を出せばきちんと仕事を行う方が多いようです。

自分のためになることにしか興味がない

「他者のために」という考えよりも、自分のためにならないと判断したことに対しては徹底的に避けようとする傾向にあります。

何もかもが不安

どんなことをするに対しても「失敗したらどうしよう」と考えてしまい、なかなか行動に起こすことが難しい方がいます。

公益財団法人 日本生産性本部によると、平成28年度の新入社員のタイプは「ドローン型」とのことです。内容を要約すると、「就職活動日程や経済状況などの目まぐるしい変化にあおられたが、何とか希望の内定を確保できたものが多かった。さらなるスキルアップによって、様々な場面での貢献が期待できる。しかし、上司や先輩の操作ミスや使用法の誤りによって早期離職のおそれもある」となっています。

出典:公益財団法人 日本生産性本部 調査研究

過去の新入社員の型も公表されていますので、興味のある方は確認してみてくださいね。あなたの新人時代の型は、あなたとあてはまりますか?

新人教育の基本的なこと

新人社会人の特徴をふまえた上で、どのように教育していけばよいのか見ていきましょう。

個人の能力に応じた指導を行う

学生時代に多くのことを学びますが、知識や技術力、コミュニケーション能力、問題化解決能力などは、個人によって大きく異なります。「これくらいだったらできるだろう」とあなたが考えていたとしても、指導する対象の新人看護師よっては難しいと感じることもあるのです。

反対に「ここまでなら、なんとかできるかな」と考えていたことを、あっさりとクリアする能力の高い新人看護師も多いです。このような場合、あまり低い目標設定をしてしまうとモチベーションの低下につながる可能性もあるため、無理がない程度で少し高い目標設定としたほうがいいかもしれませんね。

病院はクリニカルラダーに沿って教育を行うため、新人看護師全体で足並みをそろえることが大切です。しかし、足並みをそろえようと無理な指導をしてしまうと、休職や退職の原因となることもあります。個人の能力に応じた範囲で指導を行い、少しずつでも新人看護師が成長できるように対応しましょう。

まずは自分の手技や介助を見学させる

新人看護師は、どのような処置やケアを行うことも初めてです。学校や実習の時に学ぶ機会はありますが、必要物品や物品の種類、手順等は病院によって大きく異なります。そのため、新人看護師は自分の知識と現場での実際の間にギャップが生じてしまうことがあります。

また、学生時代に多くの処置やケアを学ぶとはいっても、全身清拭や洗髪等のケアや模型を用いての採血や導尿などの比較的簡単な処置のみです。IVH挿入の介助や腹腔ドレーン挿入の介助などの難易度の高いものに関しては、臨床で行われることが多かったとしても詳しくは習いませんよね。そのため、手順書で必要物品や手順を確認しただけではイメージがわかず、その処置を実際に行うことは難しいです。

まずは指導する先輩看護師が、新人看護師がイメージをしやすいように見学させるようにしましょう。最近はケアや看護技術、処置の介助などを確実に習得することができるようにするために「技術チェックリスト」を使用しているところも多いと思います。「見学」「先輩の指導のもと実施」「一人で実施」と3段階となっている場合が多いのではないでしょうか。どのようなケアや処置を習得するにも、段階的にクリアしていく必要があります。チェックリストが導入されていない場合でも、まずはイメージがわくように「見学」からしてもらい、確実にケアや処置を習得できるようにしていきましょう。

主に指導する看護師と同じような指導を行う

みなさんの勤務する病院や医療施設では、プリセプター制度が導入されていますか?プリセプター制度は、1980年代後半に日本に紹介され、新卒看護師のリアリティいショックの緩和やプリセプター自身の成長、新卒看護師の指導の一貫性を図ること、実践力の強化、新卒看護師の思考力や判断力の強化と技術力の統合を図ることなどが導入目的とされており、平成12年には、全国で3286施設中1763施設(53.6%)が導入しているという報告があります。

出典:新卒看護師のリアリティショックとプリセプターからみた新卒看護師のリアリティショックに関する認識の相違 1ページ目

少し古いデータですので、現在はもっと多くの病院がプリセプター制度を導入しているのではないでしょうか。

皆さんもご存知だとは思いますが、新人看護師1人に1人のプリセプターが付きます。そして、担当のプリセプターが中心となって看護師として働く際に必要なケアや処置、業務内容などを指導しますが、毎日プリセプターが担当することはできませんので、たくさんの先輩看護師がかかわる必要があります。

新人看護師は多くの先輩看護師の指導を受けて成長しますが、その先輩たちがみんな違うことを言うとどうでしょうか。新人看護師は、どの人の指導内容を自分の看護に取り入れるとよいのかわかりませんよね。そのため、指導を行う看護師は指導内容を統一しておかなければなりません。できれば主に指導を行うプリセプターの指導方法に統一しておいたほうがいいでしょう。

年上の新人看護師への教育のポイント

最近は、社会人枠で看護学校に入学する方も多くなっています。私が看護専門学校に通っているときも、1クラス50名のうち10名は社会人の方でした。皆さんも同級生に、社会人の方がいませんでしたか?

社会人を経験してから看護師を目指す方が増えたということは、その分「年上の新人看護師の教育」を行う機会が増えるということになります。年上の新人看護師に対して教育を行うときのポイントについてみていきましょう。

他の新人看護師と差を付けない

年上の方に対して指導を行うとなると、少し委縮してしまいますよね。私自身、「私みたいな年下が、指導してもいいのだろうか…」と思ったことがあります。新人看護師が年上であるほど、指導するときにどのように接すればいいのか分からなくなってしまいますよね。

できれば、他の新人看護師と同じように接するように心がけましょう。年下の新人看護師も年上の新人看護師も同じ新人看護師です。

積極的にコミュニケーションをとる

仕事中は報告・連絡・相談を行う必要があるため、コミュニケーションをとる機会はたくさんあると思います。しかし、それ以外の場面では「なんとなく接しにくい」と感じることはありませんか?年齢に差が開いているほど、どのような話をすればいいのか分からなくなってしまいますよね。

できれば、仕事中以外も積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。わざわざ仕事外の日に会う必要はありません。勤務終了後に担当部署から更衣室に行く間や、お昼休憩の時などの短時間だけでも大丈夫です。毎日少しでもコミュニケーションをとることで、少しずつ年齢の壁はなくなっていきますよ。

年長者であるということを忘れない

いくら新人看護師とは言っても、あなたより人生経験は豊富です。そのため、あなたのほうが先輩だからと言って、「相手よりもえらい」というわけではありません。なので、相手を尊重するということを忘れないようにしましょう。

中には、「年上でけど新人だから」という理由で命令口調となる方や敬語を使用しない方、威圧的な態度をとる方もいます。しかし、先ほども言いましたが、看護師としての経験年数が長いだけで、「相手よりもえらい」というわけではありませんよね。できるだけ敬語を使用し、相手の人生経験を否定しないような態度で接するようにしましょう。

新人教育で困ることが出てきたら

新人教育を行う際のポイントについて紹介しましたが、なかなかうまく指導できないという状況も多いのではないでしょうか。新人教育を行う上で困ることがあった場合、どのように対処すればよいのか見ていきましょう。

先輩看護師や上司に相談する

まず、あなたよりも看護師経験の長い先輩看護師や上司に相談するようにしましょう。きっと、あなたが現在悩んでいる状況と同じような状況になった経験があるのではないでしょうか。その時にどのように対処すればいいのかアドバイスをくれると思いますよ。同じような状況となったことがない場合でも、長年の看護師としての経験から的確なアドバイスをしてくれるでしょう。

「先輩よりも同期のほうが相談しやすい」と感じるかもしれませんが、できれば相談を行うのは先輩看護師や上司にしてください。同期の場合、「私もそのことで困っている」や「大変だけど頑張ってね」など、問題解決につながるアドバイスを受けることは難しいです。

仕事の話だけでなくプライベートな話をしてみる

対応に困る新人看護師の場合、「仕事以外ではあまりかかわりたくない」と感じてしまいますよね。そのため、関係性に少しずつ距離ができてしまうのではないでしょうか。最初は日勤でしかかかわらないため、プリセプターや指導担当になっていなければかかわる機会は少ないと思います。しかし、新人看護師も夜勤が開始となると、あなたと同じ日に夜勤を行うようになるかもしれません。日勤と異なり夜勤の場合、少ない人数の看護師で業務を行う必要がありますよね。そのため、イヤでも関わらなければならなくなります。

対応に困る看護師は普段から避けるのではなく、距離を縮めるために話しかけるようにしましょう。勤務終了後などにプライベートな話をすることで、少しずつ距離が縮まってくると思います。距離が縮まれば新人看護師がどのようなことを考えて業務を行っているのかということが見えてきますし、あなたのアドバイスを素直に受けいれてくれるようになるかもしれません。

感情的になって怒らない

自分がどんなに指導を行っても理解してくれない時や実践してくれない時、あなたはどう感じますか?きっと、腹立たしく思うでしょうし、「もう指導なんてしたくない」と感じるのではないでしょうか。

このような場合、感情的になって新人看護師に対して怒ってはいけません。最近の人は他人から怒られることに対して慣れておらず、あなたが感情的になったことがきっかけで休職や退職をしてしまうことにつながる可能性があります。どんなに腹が立ったとしても、相手がどのような考えなのかを確認し、時間がかかっても指導を続けるようにしましょう。

優しく説明する必要があるということではありません。時には厳しい指導も必要なことがあると思います。厳しい指導を行うときも、「大声で怒る」ということはやめてくださいね。

まとめ

新人教育を行うときのポイントについて紹介しました。最近は新人看護師の離職を防止するために「優しく丁寧に」指導を行う施設が増えていると思います。しかし、優しく丁寧な指導を続けていればいいというわけではありません。時には厳しい指導を行うことも必要だと思います。

最近は年上の新人看護師に対して教育をおこなうことが増えていますよね。ほかの新人看護師と誰が見てもわかるような差は付けず、できるだけ同じように接するようにしましょう。また、なかなか対応に困る看護師がいる場合もあると思います。しかし、避けてしまっては仕事に影響が出てくることが考えられますので、できるだけコミュニケーションをとって、苦手意識が改善するようにしましょう。

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