看護師とうつ病の関係性|鬱にならないための方法と対策

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皆さんは「うつ病」という病気をご存知ですか?最近はうつ病に苦しむ方が多くなっています。看護師の方は、うつ病を患っている人の看護を行ったことが一度はあるのではないでしょうか。

皆さんは「うつ病は自分には関係ない」と思っていませんか?実は、看護師として活躍している方の中にも、うつ病と戦っている方が大勢います。うつ病とはどのような病気なのか、なぜ看護師がうつ病になってしまうのかなど、詳しく解説します。

うつ病とは

皆さんも「うつ病」という病名を聞いたことがあると思います。うつ病とは簡単に言うと、「脳の機能低下に伴い、日常生活をまともに過ごせないほど感情が極端に落ち込んでしまった状態」のことを言います。

出典:うつ病ナビ

うつ病の症状は、大きく分けて精神症状と身体症状の2種類があります。

1.精神症状

典型的な症状は、感情・意欲・思考の3つの面で現れます。

・感情

気分が憂鬱になる、理由もなく寂しい気持ちや悲しい気持ちになる、不安や焦りを感じる、イライラするなど。

・意欲

何をするのも面倒に感じる、行動力や集中力がなくなる、趣味にさえやる気がなくなるなど。

・思考

頭がさえない、考えがまとまらない、決断力や判断力が低下するなど。

2.身体症状

うつ病の症状は、精神症状だけでなく体の不調として症状が出現することもあります。代表的なものは睡眠障害や疲労感、倦怠感ですが、食欲不振や胃腸障害、めまい、耳鳴り、味覚障害など、様々な症状が出現する場合もあります。

これらの精神症状と身体症状が、1日の中で時間とともに変化していくことも、うつ病の特徴といえます。また、うつ病は、原因から見て以下の3種類に分類することができます。

1.身体因性うつ病

精神的な葛藤や心因的なストレスによって引き起こされるうつ病。さらに、本人の無意識的な精神的葛藤が原因の神経症性うつ病、長期間の心理的ストレスが原因の疲弊性うつ病、特定のストレス体験がきっかけで起こる反応性うつ病の3種類に分類することができる。

2.内因性うつ病

体質や遺伝的な原因によって引き起こされるうつ病と考えられている。多くは心理的ストレスや喪失体験をきっかに発症する。心因性うつ病と内因性うつ病はよく似ているため、区別することは難しい。内因性うつ病は、症状の表れ方によって双極性うつ病、単極性うつ病、退行性うつ病の3種類に分けることができる。

3.身体因性うつ病

脳や身体の疾患が原因で引き起こされるうつ病のこと。脳血管障害や脳腫瘍などの脳の疾患によるものを器質性うつ病、糖尿病や消化性潰瘍などの身体の疾患によるものを症状性うつ病という。

厚生労働省の行った調査によると、うつ病の患者数は平成8年に207000人、平成14年は444000人、平成23年は708000人となっています。

出典:患者調査(平成26年10月) 総患者数・性・年齢階級×傷病分類別 3ページ目

この結果から、年々うつ病の患者数は増加傾向にあるということが分かりますね。しかし、受診していない人や自分でうつ病ということに気が付いていない方も大勢いると考えられるため、実際はもっとうつ病の患者数は多いと考えられます。

平成23年10月1日の日本の総人口は1億2779万9000人と総務省より発表されているので、単純計算で日本人の180人に一人がうつ病を患っていることになります。世界精神保健調査データによる国内のうつ病の有病率は、生涯有病率6.6%、12か月有病率2.1%となっています。この結果をもとにすると、日本では医療未受診者も含めたうつ病患者の推定値は250万人超です。

出典:厚生労働省 自殺・うつ病等の現状と今後のメンタルヘルスケア対策 24ページ目

推定値から計算すると、約51人に一人がうつ病を患っているということになります。非常に多いと思いませんか?

看護師のうつ病患者数

皆さんは、うつ病と診断されている看護師の人数をご存知ですか?平成24年度に行われた調査によると、看護師として勤務している方の人数は1,067,760人、准看護師として勤務している方の人数は377,756人の計1445516人ということが分かりました。

出典:看護職員の現状と推移 2ページ目

先ほど、日本人の51人に一人がうつ病と推定されると記載しました。このことから考えると、看護師の場合は28343人がうつ病と診断、あるいはうつ病の可能性があるということになります。しかし、実際は看護師の場合うつ病に罹患する確率が他職種よりも高いといわれており、あるデータによると、看護師のうち4人に一人が一度はうつ病を経験するといわれているのです。非常に多いですよね?

あなたの勤務する職場で、長期間休職している看護師はいませんか?表情や行動には出していないけれど、もしかすると不眠や不安感などのうつ病の症状を隠しながら頑張って勤務している方もいるかもしれません。

私の勤務していた病棟でも、新卒の看護師がうつ状態となり3か月休職したということがありました。また、先輩方の中には睡眠薬が手放せないという方もいます。私自身も、2年目のころに半年ほど、不眠やめまいに悩まされていた時期がありました。あまりにも忙しくて病院を受診することはなかったのですが、今思うと私もうつ状態だったのかもしれません。もしかすると、みなさんの中にも自分がうつと気付いていない方がいるかもしれませんよ。

看護師がうつ病になる原因

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看護師はうつになる確率が非常に高いといえます。では、なぜ看護師はうつ病となってしまうのでしょうか。いくつか原因を書きますので参考にしてみてください。

1.リアリティ・ショック

皆さんは「リアリティ・ショック」という言葉をご存知でしょうか。新卒者が経験やすいショック反応で、Kramerはリアリティ・ショックを「数年間の専門教育と訓練を受けて卒業した後の実社会において、実践準備ができていないと感じる新卒専門職者の現象、特定のショック反応」と定義しています。

出典:新卒看護師のリアリティ・ショックの構造と教育プログラムのあり方 2ページ目

簡単に言うと、「自分の理想と実際の職場の現実にギャップがあり、精神的なショックを受けること」です。

新卒者は多くの場面でリアリティ・ショックを受けるといわれており、以下のように分類されています。

基本的看護業務

与薬業務、申し送り、カルテからの情報収集・記載、医師の診察介助、検査や治療の介助技術・技術、タイムマネージメント、アセスメント

職場の人間関係

先輩看護師との人間関係、職場全体の不調和、他職種との協働におけるとまどい

ケアへの対応能力

複数受け持ち、想定外のケア(夜間の排便、頻回なナースコール)、未経験のケア(退院指導、ターミナル患者、死産、緊急帝王切開、緊急入院、未経験な処置、患者からの質問、急変)、標準化したケアから逸脱したケアへの対応(認知症患者の攻撃に対する自分の心理状況への対処、複雑なケース)

勤務形態への適応

夜勤、変則勤務、超過勤務、労働環境、不十分な休日、早い勤務開始時間

出典:新卒看護師のリアリティ・ショックの構造と教育プログラムのあり方 4ページ目

卒業して看護師としての仕事が開始となると、いままでの臨床実習とは大きく違う環境に置かれることとなります。臨床実習では受け持ち患者さんは1名だったのに対し看護師になると5~6名に増え、朝早くから情報収集のために出勤し、仕事に慣れないうちから重傷者や手術前後の患者さんの看護を行わなければなりません。このような状況が続くことで、「自分の理想としていた看護師像から大きくかけ離れているのではないか」と感じることが、リアリティ・ショックへつながるのではないでしょうか。

このリアリティ・ショックですが、新卒看護師の心に与える負担は相当なものです。その結果、うつ状態へつながることが考えられるので、職場全体での新卒看護師への対応が必要と考えられます。

ストレス

看護師の仕事は、非常にストレスが高い職業の一つではないでしょうか。常に患者さんの命を預かる立場にあり、少しのミスでも重大な影響を及ぼす可能性があるので気を抜くことはできません。また、医師と患者さんの板挟みになることや、他職種との連携を密に行う日長があるなど、人間関係もストレスを与える因子の一つとなっています。2013年9月1日~2013年11月15日に行われた調査によると、看護職で強いストレスを感じている女性は67.6%、ストレスを感じる要因は回答者が多い順に「仕事の量の問題」47.3%、「仕事の質」30.3%、「職場の人間関係」28.5%となっていることが分かりました。

出典:看護職員の労働実態調査「報告書」 20ページ目

現在、日本では看護師の人数が不足しており、多くの病院で常時看護師の募集がされている状況です。7:1看護が施設基準なのに実際はそれ以下の看護師の人数で看護を提供しているということも多く見られます。そのため、仕事量が増加し、個人への負担が増しているのではないでしょうか。

また、医療は日々進歩し、私たちが行う看護もどんどん変化していきます。この変化に対応していくことも、ストレスを与える原因となるのではないでしょうか。

不規則な勤務形態

病棟に勤務する看護師は、日勤だけではありません。入院患者さんの対応を24時間体制で行う必要があるため、月に3何回か夜勤を行う必要があります。じつは、看護師の夜勤時間に制限があるということをご存知ですか?

「72時間ルール」という基準を聞いたことがあるでしょうか。じつは、看護師の1月に行う夜勤の時間は「72時間以内」となっているのです。そのため、3交代勤務(1回8時間)であれば月9回、2交代勤務(1回16時間)であれば月4.5回が夜勤回数の限度といえます。

しかし、実際はどうでしょうか。2015年に行われた調査によると、3交代勤務の平均夜勤日数は7.60日、8日以内74.9%、9日以上25.2%、10日以上8.6%で、4分の1を超える看護職員が月9回以上夜勤を行っているということが分かりました。また、2交代勤務の平均夜勤日数は4.09回で、4回以内66.9%、4.5回以上33.1%、5.5回以上10.7%で、多くの方が夜勤回数の限度以上に夜勤を行っているということもわかりました。

出典:2015年度 夜勤実態調査 7ページ目

夜勤回数が多くなるほど、生活のリズムを一定に保つことは難しくなります。また、日勤と比較するととても少ない人数で仕事に当たるため、看護師個人の負担も増加し、責任も増えます。そのため、夜勤を行うことで、相当な負担を感じている方も多いのではないでしょうか。

夜勤をすることで精神的にも身体的にも、とても大きな負担がかかります。そのため、夜勤をすることでうつにつながってしまうのではないでしょうか。

性格

看護師になる人の多くは、まじめで責任感が強い方ではないでしょうか。人の命を預かる立場にあるので、きちんとした性格の方でなければ看護師という仕事は難しいですよね。この性格がうつ病と関係あるといわれています。

規則をきちんと守り与えられた役割はきちんとこなす、このような性格は、看護師にはぴったりだと思いませんか?このような性格の方は、周りとの協調性も高く、気を使うことができる方が多いですよね。他者に気を使いすぎるために自分の主張ができず、我慢を続けることでストレスをため込んでしまいがちいなります。

うまくストレスを発散することができるといいのですが、不規則な勤務で友人と会うことが少なくなったり、十分な休息をとることができないなどの理由から、ストレスをため込みやすくなってしまうかもしれません。

過剰労働

上でも記載しましたが、看護師の需要と供給のバランスは保たれておらず、人で不足が深刻化しています。そのため、看護師1人当たりの仕事量は非常に多くなっています。

また、最近では患者さんへの同意書が多くなってきています。万が一のことが生じた場合に訴訟の材料とするために、どんな些細なことに対しても同意書が必要です。手術や麻酔、入院計画書、退院療養計画書、身体拘束の同意書、リハビリ計画書などなど、たくさんの同意書や書類がありますよね。枚数が多くなるほど、自筆のサインをし、カルテの所定の位置に綴じるなどの作業が増えてしまいます。このことも、看護師の過剰労働の一因となっているかもしれません。

あなたは大丈夫?うつセルフチェック

看護師はうつ病になるかったが多いと書きました。ここで、一度うつ病のセルフチェックをしてみませんか?以下の質問に対し、“はい”と“いいえ”で答えてください。

  1. 何日も悲しい気分や沈んだ気分が続いている。
  2. さまざまなことに興味を持つことができず、楽しくない。
  3. 最近疲れやすく、元気が出ない。
  4. 何をするのも億劫に感じる。
  5. 寝つきが悪い、早朝に目が覚めてしまう。
  6. 食欲がない、ダイエットをしていないのにやせてきた。
  7. 人に会いたくない。
  8. 朝よりも夕方のほうが体調が良い。
  9. いつも心配事があり、常に同じことを考えてしまう。
  10. 自分の価値が見いだせない。

いかがでしたか?1つも当てはまらなかった方は今のところは大丈夫です。1~5つ当てはまった方は、うつの傾向にあるかもしれません。6つ以上当てはまる方は、一度受診したほうが良いかもしれません。

これは簡単なセルフチェックですので、気になった方は早めに受診するようにしましょう。

うつ病になったらどうする?

では、実際にうつ病になったらどうすればいいのでしょうか。

相談する

まずはだれか話をしやすい人に相談してみましょう。人に話すことで、自分の抱えている不安やストレスが軽減するかもしれません。この時、信頼のおける人を選ぶようにしましょう。苦手な人に話すと、かえってストレスをためてしまう可能性があります。また、当たり前のことですが、秘密を守ってくれる人に相談するようにしてくださいね。

大きな病院には、最近は「リエゾンナース」がいることが多いのではないでしょうか。勤務中は患者さんとの予定が埋まっていると思いますので、時間外に時間をとってもらってはいかがでしょうか。的確なアドバイスをもらうことができるかもしれませんよ。

夜勤をなくしてもらう

上でも記載しましたが、不規則な勤務体制となることでうつ病の発症リスクは高くなります。本当は休職をするほうが身体的にも精神的にも休まるのですが、「休職する勇気がない」という方もいるのではないでしょうか。このような方は、まずは夜勤を完全になくし、日勤業務だけをしてみるといいかもしれません。

日勤業務だけすることができないか、上司に相談してみてくださいね。

休職する

症状が改善されない時は、思い切って休職してしまってはいかがでしょうか。1か月など長期間休職することで、仕事から完全に離れてゆっくりすることができます。一人暮らしをしている方は、実家でのんびり過ごしてみるのもいいかもしれません。

以前勤務していた職場に、うつ病になってしまった新人看護師がいました。この看護師は、1か月間実家でゆっくり過ごしたようです。1か月間仕事のことを考えずに過ごしたことで、症状が改善したようで、復帰した時は笑顔が見られるようになりました。その後は症状が安定したのか、休むことなく仕事を行うことができるようになっていました。

退職・転職を検討する

例えば、苦手な上司がいることでストレスがたまりうつになってしまったとします。このような場合は、うつになった原因が特定されているので、原因となる人物から完全に離れるのが一番の解決策です。

頼る人がいる方の場合は、完全に看護師をやめてしまい、家事をすながらゆっくりするといいのではないでしょうか。頼る人がいない場合、仕事を完全にやめてしまうと生活ができなくなってしまいます。転職をすることになると思いますが、退職後すぐに新たなところで働くのではなく、1か月間ゆっくり過ごしてから転職を行ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

看護師として勤務している方の中に、うつ病を患っている方は大勢います。うつ病と一言で言っても、症状や状態は人それぞれです。少しでも気になる症状がある方は、早めに専門家に相談してみるようにしましょう。

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