看護師の具体的な悩みと転職をする前に知っておきたいこと

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

看護師になる人には、人の役に立ちたい、誰かを支える人になりたい、いつも優しく分け隔てなく接してくれる看護師になりたいなど、尊い動機を持つ人が少なくありません。ですが、現実の仕事は、それほど簡単でもなく、甘いものでもありません。時に患者に文句を言われたり先輩から無理なお願いをされたり、勤務時間以上に長時間労働したりなど、看護師として働く前には、想像もしていなかったことが色々と起こります。

その中で、現実と理想の狭間で悩みながら仕事を続けている人も多いのではないでしょうか?その悩みを解決するために転職という道を選ぶ人もいるでしょう。看護師は、他の職種に比べて比較的転職率が高い職種です。なぜなら、資格があり求人が多いからです。ですが、悩みがあるからといってすぐに転職を考える前に考えておきたいことがあります。今回は、看護師特有の悩みを中心に転職する前に考えておきたいことをご紹介します。

看護師という仕事

まず、看護師の悩みを考える上で、看護師の特徴が原因を改めて考えてみます。看護師という仕事は、医療の中でも器用に立ち回ることが求められるような立場ともいえます。

他医療スタッフに対して、患者に対して、そして同僚に対して、どの方位に対しても円満に関係を調整できることが円滑に物事を進めるためにはとても重要です。これらを、いとも簡単にやってのける人であれば、きっと看護師を天職と思うでしょう。

ですが、多くの看護師には、初めからうまくいくことはまず少ないでしょう。悩みながら、もがきながら、仕事をしています。

人間関係

どの仕事にも言えることですが、看護師の仕事は人間関係の調整によって成り立っています。

例えば、看護師の仕事はチームで看護に当たることが多いですが、チーム内同僚たちと円滑に業務を割り振りお互いに助け合いができれば、より効率的に仕事を進めることができます。

しかし、これを逆に言うなれば、お互いに仲違いをしお互いが助け合うよりもむしろ、足を引っ張るように仕事をしていれば誰に対してもメリットなく、同じ業務量であったとしてもより多くの時間がかかったり、不要な作業を増やすことだってあるでしょう。

人間関係が良好であれば、気軽に相談できたりお互いの事情が理解できたり、お互いを尊重しあいながら仕事ができるでしょう。ですが、先輩、後輩、同僚でも気の合う人もいれば気の合わない人もいます。

仕事上だけでも話せるようになりたいと割り切っていても、相手に全然その気がない時だってあります。自分にとってコントロールできない他人の気持ちによって、人間関係に悩まされ、さらには仕事に差し障りが出るという場合も少なくないはずです。

だからこそ、人間関係に躓くと仕事本来のことではないにしても、人間関係が仕事上の一番の悩みになることさえあるのです。

生死と関わる重責

看護師の仕事は、単にチームワークで行われるだけでなく医療という業界にいる限り、生死に関わる仕事です。そのため、プレッシャーは大きく責任重大な仕事をミスなくこなすことが求められます。

例えば、精神科では自殺未遂の患者が入院していることがあります。入院が始まった当初は、関わりを密にし頻回に患者の様子を確認しています。ただ、ふと安定してきたと思った矢先にその患者が自殺したケースがありました。

精神科といえば、手術もなく死とはあまり関係がなさそうに見えるかもしれませんが、どんな場所であれ医療の中では、生きている人を対象としていても、死を迎えることは医療の中で起こり得るのです。

薬や針の扱いなど緊張感を強いる場面は、看護師の業務の中にあります。間違いをしてはいけないプレッシャーと戦いながら冷静さを保ち、仕事をする必要があります。

そのプレッシャーに耐えられるようになる、プレッシャーに慣れるまでには、きっといろんな場面に遭遇し責任感と戦いながら悩み続ける人が多いのではないでしょうか。

不規則の勤務時間、長時間労働 

病棟では24時間体制で患者対応が必要となります。24時間の看護体制を作るために多くの病院、医療機関では看護師がシフト勤務という不規則な勤務時間を繰り返しています。これが、看護師の仕事が身体的にも負荷のかかる理由の一つです。

例えば、日勤の勤務を2回こなした後、夕方からの勤務、深夜からの勤務へとずらし、1日または2日の休日を挟んで日勤の勤務から始まります。このことからも分かるように、勤務時間が変わる頻度が多いため睡眠のリズムは一定になることはありません。朝から寝る時もあれば、昼から寝る時もあるでしょう。そのため、看護師の中では睡眠薬を利用する人もいます。なるべく薬に頼りたくないという人もいますが不眠や寝不足に悩みやすいのは、この不規則な勤務時間帯も理由の一つです。

また、不規則な勤務に加えて、長時間労働であることも特徴として挙げられます。医療では、患者の対応が時間で割り切れない状況が数多くあります。患者の訴えを聞いている時、緊急対応している時などです。そんな時、勤務時間通りに勤務を終了することが難しくなるのです。何らかの対応している時に勤務終了時間だからと、その場を離れることに気がひけるという人もいるでしょう。日勤だけのクリニックや健康診断など緊急対応が求められない医療機関であれば、勤務時間通りの勤務かもしれません。ですが、新人で多くを学ばなければいけない場合や病棟勤務であれば、長時間労働を強いられている人は少なくないでしょう。そのため、仕事帰りに予定を入れたり約束をしたりするのがだんだんと難しくなり、仕事中心の生活となる場合がほとんどです。

看護師の悩み

どんなに自分が目指していた仕事につけたとしても、悩みは尽きません。理想と現実のギャップに悩んだり自分の能力を過信していたり、怒られる日々、自分自身にがっかりする時もあるでしょう。看護師という仕事も他の仕事と同様、または、それ以上に悩むところがあります。他の仕事と共通することもあるかもしれませんが、看護師ならではの悩みがあります。

人間関係のストレス

まずは、人間関係の悩みです。看護師は患者だけでなく他看護師、医師などの他医療スタッフなど仕事上関わる人が多くいます。どんなに看護師として自立している、経験がある人でも全く一人で全ての業務をすることは不可能でしょう。医師であれば独立して自分のクリニックを開業し、独立的に仕事に専念することもできるかもしれません。ですが、看護師の多くの仕事は一人独立することを目標とするのでなく、チーム内でいかに能力を発揮するかが求められます。そのため、人間関係をいかに調整できるかが、業務を円滑に進められるかどうかにかかってきます。看護師の多くは女性です。最近では男性の看護師も出てきてはいますが、まだまだ少数派です。

そんな女性社会の中で人間関係をうまく調整することは、誰しも上手にできることではありません。友達の世界ではなく先輩、後輩の上下関係、女性ならではのコミュニケーション、社会人としての距離感などを考慮しながらうまく他人と関わっていくことが求められます。生まれつきの天性で誰とでもうまく付き合える人もいれば、なぜか誤解されてしまう人、うまく距離感が取れずに悩みストレスと感じる人は、少なくないでしょう。

責任感によるストレス 

医療における生死に関わる仕事としての責任感も、ストレスの一因です。生死に関わり人の命を助ける直接的な仕事だからこそ、やりがいを感じ使命感を持って仕事に向き合えると捉えることもできます。

ただ、そのやりがいは責任感とは表裏一体の関係ではないでしょうか?自分の仕事による影響が大きいからこそ、やりがいが感じられるのです。その責任感に対して日々の仕事で向き合わなければなりません。全てがうまくいっている時は、そんな責任を担うことが前向きに感じられるかもしれません。

ただ、ミスをしてしまった時、後悔するような対応をしてしまった時、責任の重大さ改めて気づかされると同時に仕事に対して恐怖を感じる人もいます。責任を担うことは、やりがいを得られる反面、仕事に対するプレッシャーにもなります。

不規則な生活リズムによるストレス 

不規則な勤務や長時間労働が、身体的だけでなく精神的なストレスになりかねないことは、世間でもよく知られていることでしょう。不規則な勤務は、生活リズムを乱し睡眠にも大きな影響を与えます。変則的に変化する勤務時間に合わせて、プライベートの生活スタイルを刻々と変化させていかなくてはいけないため、身体的な負担は通常の規則的な生活よりも大きいことは明らかです。

また、長時間労働も規則的な生活や、日常生活をコントロールすることを一層難しくしてしまいます。勤務時間が便宜的に一定の時間帯で決まっていたとしても、全ての業務が終わらない限り帰れなかったり、緊急対応で人手が足りず対応を強いられてしまったり、自分自身の生活を優先することが難しい場合があります。

医療機関や直属の上司の理解があり、それが許される現場であり、それを可能としてくれる体制が整っている場所であれば、悩むことはないかもしれません。

ですが、人手不足のためにチームとして長時間労働が常態化しているところであれば、他看護師と同様に長時間労働を当たり前としてこなさなければいけないところもあるでしょう。

このように、不規則な勤務時間そして長時間労働によって、仕事中心の生活をならざるを得ない時があります。新人の時や仕事に没頭したい時は、そんな生活にやりがいや目標を持ってこなせる人もいるでしょう。一方で、これがストレスとなることもあるのです。

感情をコントロールするストレス 

医療職の中でも看護師特有のストレスがあります。どの現場においても人間関係についての感情コントロールによる精神的ストレスがあげられます。接客業のストレスといってもいいでしょう。看護師はいろんな患者に接する中で、どんな患者でも分け隔てなく接することが求めらます。

好き嫌いを正直に表に出して、接する看護師は少数派といっていいかもしれません。そのため、心の奥底で悲しみを抱えていたり悩みをあったとしても、仕事ではそれらを無視し感情をコントロールしています。そのおかげで、どんな患者に対しても信頼関係を築き対応ができるようになります。

仕事上では看護を提供する上での基本的な人間関係を築くために、大いに役立つ一つの能力、スキルといってもいいでしょう。ですが、それは目には見えないストレスも生み出しています。素直に感情を表出できる時と、何かを抱えてその抱えたものを自身で押し殺している時には、感情的なエネルギーの消耗があるのではないでしょうか。身体的には疲労が軽くても、精神的な疲労を感じる時はまさにそれが原因と考えられます。

転職を考えるとき

このように、看護師の悩みは数多くありません。以上に挙げた悩み、ストレスだけでなく他にもその人なりに悩むことがある人はきっといるでしょう。それぞれの悩むことが違うかもしれませんが、それによって今の職場を辞めたいと思う人は多いのではないでしょうか?

今の現状から抜け出したいために、転職が一つの解決策になることもありません。ですが、転職を決意するまでに考えておきたいことがあります。それは、転職によって変えられること、変えられないことの違いです。職場が変わっても、変えられないこともあるのです。次に、転職によって具体的にどんなことが期待できるのかを整理してみました。

気持ちの切り替え

一つには、気持ちをリフレッシュすることです。職場を変わるということは、働く物理的な環境も変わり共に働く同僚も変わります。全くの新天地に身を置くことは、それだけで気持ちを一旦リセットして仕事に取り組むやすくしてくれるでしょう。

ですが、これはあくまでも転職して間もない頃に限った場合の変化であり、フレッシュな気持ちを維持することは、また違う努力を要するかもしれません。

また、転職することのもう一つの利点は、前職を退職する時点を踏まえて次の職場へ入職する時点を任意に決定できることです。経歴的には、退職と入職に全くの猶予がない方が自然かもしれませんが、あえて猶予を空けることも可能です。そうすれば、気持ちのリフレッシュを兼ねて旅行してみたり、短期間の留学することもできます。環境を変えて次の入職日までに猶予を作ることは、心身共にリフレッシュさせ次の仕事へのモチベーションもきっと高めてくれるでしょう。

仕事とプライベートのバランス

転職によって大幅に変えることができることが、仕事とプライベートのバランスです。看護師の仕事は医療機関が多いですが、他にも企業、保育園、施設など様々な場所で様々な勤務形態で看護師として働く場所を見つけることができます。夜勤を含む不規則な勤務もあれば、OLのように日中の一定の時間帯という規則的な勤務もあります。また、勤務する曜日も土日祝日休みという場所もあるでしょう。企業の健康診断をしているクリニックであれば、平日のみの勤務の募集があります。

病棟勤務であれば、長時間労働で勤務時間もいつ終われるのか分からない職場もあるでしょう。ですが、他の職場に目を向けてみると、そんな職場ばかりでないことがだんだんと分かってきます。

ただし、気をつけたいところは、必ずしも看護師であれば誰でもどんな職場へ入職できるわけではないことです。クリニックなど少人数体制で診療しているところは、看護師として既に自立し経験豊富であることを求めています。また、中途採用であれば、どんな診療科でどん手技が出来てどんな経験を積んでいるかが、採用の上で重要になってくるでしょう。そのため、自分自身のスキルと転職先で求められるスキルをよく吟味した上で、応募することが必要です。

人間関係のリセット 

人間関係も転職することで、全くゼロからのスタートとなります。新しい人との関係構築には、いろいろと労力を感じるかもしれません。ですが、新しく始めることの利点は、それまでの人間関係の反省を生かして関係構築の努力を図れることです。初対面で会った人と仲良くすることは、既に自分へ悪い印象を持っている人と仲良くすることよりは難しくはないでしょう。それまでの人間関係の悩み、辛さをリセットし新しい人間関係をうまく構築することを期待できます。

ただし、一概に環境を変えることで、人間関係の悩みが全く消えるわけではありません。過去の経験を生かしてより良い関係を周囲と築こうと思っていても、必ずしも新しい職場での人とうまくいくとは限らないからです。問題が前職の同僚の性格であれば、転職によって原因が解消されます。ただ、自分自身のコミュニケーション不足、誤解を招きやすい言動が原因だったとしたら、どんなに環境を変えたとしても自分自身が変わらない限り、同じような悩みが出てくるのは時間の問題かもしれません。

転職によって解決できないこと

次に、転職によって変わらないこと、変われないことは何でしょうか?転職すれば、全ての問題が解決するというわけではありません。根本的な悩みの原因によっては、どんな環境であっても同じような悩みが生じることは考えられます。

周囲の人との人間関係作り 

先ほどは、人間関係のリセットができることを転職によってできることの一つに挙げましたが、転職しても人間関係について変えられないことは、自分自身の人間関係作りの方法です。どんなに関わる人が変わろうとも、自分が変わらなければ何も変わらないことがあります。そのため、人間関係だけが悩みだとすれば転職という方法を考える前に、少しだけでも人との関わり方を見直してみることもいいかもしれません。

また、考え方を変えてみると、それほど自分は思ったほど嫌われていなかったのかもしれない、この人は案外いい人なのかもしれないなど新しい発見が見つかるかもしれません。

自分自身

人間関係でも触れたように当然ですが、転職によって自分自身が変わることはありません。どんな仕事であれ、どんな時間帯に勤務していようとも同じ性格、同じ顔、能力である自分自身が仕事をします。転職によって、新たに自分の得意なことが見つかったり苦手なことが見つかったり、自己発見もあるでしょう。ですが、自分自身を変えることは転職によってできるのではなく、自分自身の意図的な努力、工夫によって成し遂げられるものです。

転職をきっかけに変わろうとすることもできます。ただし、何の努力もなしに、転職という環境の変化だけでは足りません。そのため、もし自分自身がこんな人だったら、こんなことができるのにと思うことがあったら、自分が思い描く人に少しでも近づけるように努力していけば、転職しなくても悩みは改善されていきます。

まとめ 

看護師の悩みは多くは共通していて、多くの人が考える解決策にきっと「転職」が出てくるでしょう。ただ、転職によって解決できるかどうかは分かりません。転職によって変えられること、変わらないということはありません。一体、自分が転職によって何を期待して何をどう変えたいのかを明確にすることが、後悔なく転職することができるでしょう。自分らしく自分が納得できる仕事をするためにも、まずは自分自身を知り自分自身の求めることを把握することが、自分にあった職場を見つける第一歩なのです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る