精神科の看護師って楽なの?精神科の仕事内容と実際のところ

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病院にはたくさんの種類の診療科ありますよね。就職するときや転職をするときに、どの病院や診療科で働こうか悩むことがあると思います。多くの診療科がありますが、精神科での勤務を検討したことのある方もいるのではないでしょうか。

しかし、実習で精神科に行く期間は短く、精神科での仕事内容について理解することは難しいです。また、周りで精神科に勤務している看護師がいなければ、給料や看護師の男女比などを知る機会はありません。精神科病棟の概要や仕事内容、給料などについて紹介します。転職や就職、臨床実習などの参考にしてくださいね。

【精神科とは】

まず、精神科がどのようなところなのか見ていきましょう。精神科とは、医療機関における診療科目の一つで、精神障害・精神疾患・依存症・睡眠障害を主な診療対象としています。2016年の調査では、日本国内に精神科病院は1067施設あり、精神科の診療所数は6481か所あるということが分かりました。

出典:平成26年(2014)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況 13ページ目 14ページ目

皆さんの住んでいる場所の近くにも、精神科の診療を行っている病院や診療所があるのではないでしょうか。心療内科や神経内科と精神科は混同されがちですが、それぞれ以下のような違いがあります。

心療内科

心理的な要因で身体の症状(胃潰瘍、気管支ぜんそくなど)が現れる、いわゆる「心身症」を主な対象としている。しかし、「心療内科」と看板に書いてあっても、実際にはこころの病気を診ている医療機関がたくさんある。ただし、こころの病気を全て診ているわけではなく、軽い「うつ病」や「神経症性障害」など一部のこころの病気しか診ていないところもある。

神経内科

パーキンソン病や脳梗塞、手足の麻痺や震えなど、脳や精髄、神経、筋肉の病気を診る内科である。精神的な病気を主に診ているわけではない。

出典:厚生労働省 みんなのメンタルヘルスケア総合サイト

入院施設のある精神科病院の場合、病棟には2種類の形態があります。実習や講義の中で学んでいるとは思いますが、以下の2種類です。

閉鎖病棟

出入り口すべてが施錠され、患者さんが自由井出入りできないようになっている病棟。状態が安定していない患者さんや、帰宅欲求・退院欲求・妄想などのために離院する可能性のある患者さんが入院する。閉鎖病棟内には保護室(隔離室)と呼ばれる、外からは施錠できるが中からは開錠できない仕様となっている部屋もある。保護室には、他害や自害、迷惑行為などが度の超えた状態の不安定な患者さんが使用することになる。

解放病棟

一般の病棟と基本的には一緒で、自由に院内・院外に出入りできるようになっている。状態が安定しており、入院形態が「任意入院」の方が主に入院している。

【入院形態の種類】

一般病棟での入院形態と異なり、精神科病院の入院形態にはいくつかの種類があります。

任意入院

本人自身で物事を正しく理解し、入院治療の必要性などの判断のできる状態での入院。任意での入院なので、医師が許可すれば退院することが可能。

医療保護入院

本人が入院を拒否した場合、家族などが入院に同意することで入院させることを言う。精神保健福祉法第33条1項~7項に定められており、1名の精神保健指定医が診察を行い、その結果精神障害があり、医療及び保護のために入院が必要であると診断し、家族が入院に同意しなければならない。

応急入院

緊急に入院治療を行わなければならないにもかかわらず、本人が入院を拒否し、家族などへの連絡がすぐにとれない状況の場合にのみ適応される。応急入院指定を受けている病院で、72時間に限って、応急入院の入院形態をとることが許されている。

措置入院

警察官が、自傷他害の恐れのある人を発見した場合、精神保健福祉法第23条に則り、速やかに保健所長を通じて都道府県知事に通報しなければならない。通報を受けた都道府県知事は、県の職員に調査を行わせ、診察の必要があると判断した場合、2名の精神保健指定医による診察を行わなければならない。この2名により入院治療が必要と判断された場合、行政の権限で入院させることを措置入院という。措置入院から退院する場合、都道府県知事の措置解除決定が必要となる。

緊急措置入院

措置入院の必要があるものの、精神保健指定医2名がそろわず、1名の精神保健医によって措置診察が行われたうえで、「精神疾患により自傷他害のおそれが高いため、入院治療が必要」と判断した場合、72時間に限って緊急措置入院を行うことができる。しかし、72時間以内に再度2名の精神保健指定医が措置診察を行い、措置入院に切り替える必要がある。

【精神科病院での看護師の仕事内容】

あまり馴染みのない精神科病院ですが、看護師の仕事にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

薬の投与、取り扱い

一般病院と精神科との大きな違いは、薬の取り扱い方ではないでしょうか。精神疾患は外科的治療を行わずに、投薬治療が行われることが多いですよね。精神科の治療のために用いられる薬は非常に種類が多いですが、すべての薬に対する知識を身につけなければなりません。精神科に入院している患者さんは、自分にどのような治療が行われているか知るために、看護師に薬の詳しい情報を聞いてくることがあります。その際、「分かりません」などの回答を看護師が行うと、患者さんから不審に思われることもあるようです。また、患者さんが興奮状態にあるときなどは、筋肉注射や静脈注射を用いて鎮静を行うこともあります。内服薬だけでなく、注射薬に関しても作用や副作用などをしっかりと学んでおかなければなりません。

日常生活への援助

日常生活への援助は、一般の病院でも毎日のように行いますよね。精神科でも同じです。清拭やシャワー介助、洗髪、口腔ケアなどの身の回りのことを自分で行うことが困難な患者さんに対し、これらのケアを行います。また、一人でシャワーを行うことのできる患者さんに対しても、看護師や介護士などが必ず見守りを行い、浴室内で事故が起こらないようにしなければなりません。

身だしなみを整える際によく使用する歯ブラシや爪切り、かみそりなどは、患者さんの手元に置いておくと、怪我や事故の元となることがあります。そのため、普段よく使用される物品に関しても、看護師が管理している病院が多いです。

また、日本は高齢化が進んでいますが、精神科病院に入院する患者さんも高齢化が進んでいます。そのため、おむつ交換や車いす移動の介助や、胃瘻の管理などが必要な場合も多いです。

異常の早期発見

一般病院でも、毎日1回は検温や血圧測定などのバイタルサインの測定を行いますよね。精神科でも同様ですが、精神科疾患の患者さんの場合、症状が悪化すると意識障害を起こすことがありますし、薬の副作用によってバイタルサインが大きく変化することもあります。

精神科病院に入院している患者さんの中には、自分の体の症状をうまく伝えることの難しい方や、自分の体の症状をかなりオーバーに表現する方が多いです。また、精神疾患の患者さんは、糖尿病や心臓病などの合併症を併発する割合が高いといわれています。そのため、異常の早期発見を行うことができるよう、バイタルサインのチェックや状態の観察が非常に重要です。

【精神科での勤務に向いている人】

精神科での勤務に向いている方は、どのような方なのでしょうか。いくつか紹介しますので、あなたに当てはまるか確認してくださいね。

患者さんとのコミュニケーションをとることが好きな人

看護師は患者さんと積極的にコミュニケーションをとることで、患者さんの情報収集や信頼関係の構築を行いますよね。非常にコミュニケーションは重要な役割を持ちます。精神科での看護業務は日常生活の援助や異常の早期発見などがありますが、これらの業務を行うためには、患者さんとしっかりとコミュニケーションをとり、信頼関係を築いていかなければなりません。精神疾患を抱える患者さんと信頼関係を築くためには、看護師のコミュニケーション能力に左右される部分が大きいので、コムニケーションをとることが好きな方のほうが精神科での勤務に向いているといえます。

患者さんとじっくり向き合って看護を行いたい人

急性期の病院であると、毎日のように入院や手術、医師の処置の介助などの予定があり、一人の患者さんとゆっくりかかわる時間が持てませんよね。「もっとゆっくり患者さんと関わりたいのに」と考えている方もいるのではないでしょうか。

精神科では、急性期病院のように毎日たくさんの予定があるわけではありません。また、精神科の患者さんは数か月単位~数年単位で入院している方が多いので、急性期の病院と比較すると比較的ゆっくりと患者さんとかかわることができます。日頃のコミュニケーションやかかわりの中で、その患者さんの個別性を考えることができ、個別性にあわせた看護を提供できるので、患者さん一人ひとりとじっくり向き合っていきたい方にはぴったりの職場です。

【精神科に勤務する看護師の給料】

日本看護協会が行った調査によると、フルタイム勤務の正規職員の看護師について、非管理職の2013年1月支給分の賃金額の平均は、給与月総額35万2.157円、基本給月額25万4,583円(平均年齢36.1歳)であったということが分かりました。中間管理職(主任以上)では、給与月総額43万1,338円、基本給月額32万2,786円(平均年齢46.5歳)であり、管理職(副看護部長以上)では、給与月総額49万4,933円、基本給月総額37万983円(平均年齢53.7歳)ということもわかりました。

出典:2012年 病院勤務の看護職の賃金に関する調査 報告書 8ページ目

精神科で勤務する看護師は給料が高い、ということを耳にした方もいるかもしれませんが、実際は看護師の平均給与額とほぼ同じ金額のようです。精神科の特別手当がつく病院もありますが、残業を行う時間が短い傾向にありますので、あまり給料に変化がありません。

ですが、精神科での勤務で給料を増やす方法があります。「夜勤回数を増やすこと」です。看護師の夜勤時間は、月平均夜勤時間数を72時間以内にしなければならないという「72時間ルール」がありますよね。2交代勤務の場合は月4回、3交替勤務の場合は月9回までとしている病院が多いのではないでしょうか。精神科の場合、夜勤の72時間ルール適応外となっているので、多くの夜勤を行うことが可能です。夜勤をすればするほど給料はアップしますので、精神科勤務で給料を増やしたい方は、夜勤の回数を増やし増やしましょう。

【精神科に勤務するメリット】

精神科に勤務する際、どのようなメリットがあるのか紹介します。

コミュニケーション能力が鍛えられる

精神科疾患を抱える患者さんと信頼関係を築くためには、看護師のコミュニケーション能力に左右されることが多いと書きましたが、精神科で勤務を行うと自然とコミュニケーション能力が鍛えられます。患者さんとコミュニケーションをとることは看護師として勤務をする上で非常に大切ですので、精神科から他の診療科へ転職をしたとしても役立つのではないでしょうか。

残業が少ないため、プライベートを充実させることができる

看護師として勤務をしていると、毎日のように残業を行わなければ仕事が終わりませんよね。勤務時間内に記録を書くことができないことが多いですし、勤務終了間際に緊急入院が来るということもよくあります。

精神科の場合、急性期のようなバタバタとした忙しさはなく、緊急入院や急変などもほとんどありません。そのため残業が少なく、定時で仕事を終えることもできるようです。残業がなければプライベートの時間を確保できますので、仕事もプライベートも重質させたいというかたには非常にいい環境ではないでしょうか。

【精神科に勤務するデメリット】

精神科に勤務する際、どのようなデメリットがあるのか見ておきましょう。

医療行為の技術を磨くことができない

一般の病院では、毎日のように採血や留置針の挿入、膀胱留置カテーテルの交換などの医療行為を行う場面がありますよね。特に急性期病院などでは、非常にたくさんの医療行為を行う機会があります。新人の看護師も、毎日このような環境で働くことで、自然と技術や経験が身に付きますよね。

精神科では、このような医療行為を行う機会は非常に少ないです。そのため、医療行為の技術を磨くことは難しいかもしれません。特に、新卒の看護師の場合、自信をもって医療行為を行うことができるようになることができない可能性がありますので、技術を磨きたい方は一般の病院での勤務を行ったほうが良いです。

看護師に危険が及ぶことがある

精神科疾患で入院している患者さんの中には、急に興奮状態となることや、妄想・幻覚状態となることがあります。このような状態となると、自傷行為を行う患者さんがいますが、中には他者へ暴力をふるう患者さんもいるのです。ほかの患者さんへの被害が生じないようにするために、看護師や医師が体を張って止めなければならないこともあります。また、直接看護師に暴力をふるうということもあるのです。

看護師に危険が及ぶことがあるため、男性看護師が重宝されます。患者さんからの暴力行為の被害にあいたくないという方は、精神科での勤務は避けたほうがいいでしょう。

【まとめ】

精神科での勤務についてまとめました。普段あまり情報を得る機会の少ない精神科ですが、一般の病院と大きな違いはほとんどありません。興味を持った方は、就職や転職を行う際に、精神科も候補に入れてみてはいかがでしょうか。

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